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越後妻有アートトリエンナーレ 2009

HAPPENINGText: Sachiko Sekiguchi

今年で第4回目の開催となる「越後妻有トリエンナーレ」。2000年から始まったこの芸術祭は参加アーティスト、作品数共に着々と数を増やし、今年は作品数約370点(内過去開催の恒久作品160点を含む)と、多くの作品を抱えるアートイベントへと成長した。実行委員会、アーティスト、ボランティア、地域の人々が10年近い歳月をかけて紡いできたこの芸術祭は、今年どのような表情を見せてくれるのだろうか。
まだ蝉の鳴き声が聞こえるであろう美しい里山に、9月初旬の4日間、お邪魔してきた。

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今回はフェリーで新潟へ。小樽から新潟港、約20時間かけての移動だ。長い船旅で暇を持て余すかと思ったが、昼間の真っ青な海、夕焼け、星空、日の出と、刻々と変わる海と空の表情は飽きることなく眺めていられる。こうしてゆったりとした時間の過ごし方にだんだんと身体が慣れてくる。「無理なく楽しむ」ことは今回のトリエンナーレを楽しむコツかもしれない。広大な展示地域を持つこの芸術祭では、全て見て回るのは難しい。目当ての作品を目指し、ゆっくりと巡り、五感で妻有を楽しむのが良い。
朝、白み始めた空と水平線の向こうに見える新潟の大地。期待に胸を膨らませていざ、上陸する。

新潟駅からトリエンナーレ会場へはレンタカーを利用した。今回は全ての行程を車で巡ることにしたが、その他にも会場の巡り方は色々ある。ガイド付きのツアーバスや電車、レンタスクーター・サイクルなどが用意されている。移動方法の選び方によってもこの芸術祭の景色は違ってくるので、日程と相談して賢く利用するのがお勧めだ。

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最初に訪れたのは、ジェームズ・タレル「光の館」。谷崎潤一郎の「陰翳礼賛」から着想を得たという、タレルの作品に宿泊できる世界で唯一の建物だ。スライドする屋根から空の光を取り入れた和室は光に溢る一方、部屋を取り囲む廊下は庇によって薄暗く、ひんやりと涼しい。立派な屋根に覆われた空間は、陰が持つ静けさを感じることができる。次々にやってくる来場者は、和室に寝転がり、四角く切り取られた空を眺めながくつろいでいる。初めて訪れたにもかかわらず、こんなにも落ち着くのは、畳や木の温もり、周りの環境を取り入れた造り、そして家と融合したシンプルで真っ直ぐなタレルの作品の力だろう。また、建物の細かな造りにも素敵な工夫がされいるので、訪れた人は家中探検してみてほしい。
ちなみにこの施設には1年中宿泊することができる。風呂も光をテーマにしたタレルの作品で、宿泊した人だけが入浴できる。人気の宿なので早めの予約を。

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