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越後妻有アートトリエンナーレ 2009

HAPPENINGText: Sachiko Sekiguchi

節黒城跡の散策道を歩くと、林道の風景の中に突如作品が現れる。

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渡辺正範&ARTNET かわにし の「大地の記憶ーかざぐるまの道ー」
カラフルな風車はアーティストと地元住民が制作・設置したもの。土地に住む人の手で作られた風車が山の風に吹かれて可愛らしく回っていた。

吉水浩の「森の番人」。豪雪地帯の車庫のかまぼこ型の屋根と川西地域の「川」の文字をモチーフにした彫刻作品だ。この作品を目印に、車を降り散策道へ入っていく。

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しっとりとした森の道を歩いていくと、どこからか低音のリズムが聞こえてくる。吸い寄せられるように近づくと、半球のドームが二つ向かい合い一人の男性がドームのDJブースでプレイをしている。音の犯人は彼だ。まるで山の中の秘密基地のような作品は、関口恒男「越後妻有レインボーハット2009」。地面に設置された水と鏡の反射からプリズムが生まれ、虹色にドームを彩り、響く低音にプリズムが揺らめく。音と光の演出に心が躍る作品だ。

更に奥に進んで行くと、柳健司「空と大地の展望台」が現れる。2000年の作品なので、9年の時を経た雨ざらしのコンクリートが良い味を出している。散策道の一番高台の展望台には、ここから世界中の大都市と太陽系惑星までの距離が記されている。中心に立ち、遠く想いを馳せる。

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住宅が並ぶ一角に奇妙な生き物のようなものを発見した。内田繁「境界の神話」。まるで動物の群のようにも見える作品は、跨がるのに丁度いいサイズ。地元の子ども達もこれで遊んでいるのだろうか。

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少し歩くと、手作りの看板に「囲いのおっかぁ」とある。覗いてみると、地元のお母さんが出てきてお茶や漬け物を振る舞ってくれる。あれもこれもとどんどん出てきて驚くが、ありがたく戴いた。これは何かと尋ねてみると「車座おにぎり」の会場だそうだ。車座おにぎりとは芸術祭イベントの一つで、会場内に転々とある休み処で地元のお母さん手作りのおにぎりを戴き、おもてなしをしてもらえる。それに対しお客さんは「何か」をお返しするというものだ。残念ながら、私が行った時には今日の分は終了していたが、運が良ければおいしいおにぎりを食べられるかもしれない。お母さんとお茶を飲みながら、世間話をする。あたたかいもてなしに感謝し、元気を補給して再び移動する。

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