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越後妻有アートトリエンナーレ 2009

HAPPENINGText: Sachiko Sekiguchi

そして、芸術祭の一番大きな拠点である「農舞台」へ。
インフォメーションもグッズもここが一番充実しており、恒久作品も多く設置され1年中見ることができる。休み処があり、ここでも地元の人たちのもてなしを受けることができた。大地の芸術祭はこのような心温まる触れ合いが多いのも魅力だ。

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移動し、「福武ハウス2009」へ向かった。こちらも廃校プロジェクトの一つで、旧名ケ山小学校に日本を代表する7ギャラリーが集結し、個展形式で展示をしている。こちらはキャプションや空間のデザインも洗練されており、三省ハウスとはまた違った廃校再生の可能性を感じられる展示空間だ。どの教室も個性的な顔ぶれが並ぶ。

森弘治「質問のワークショップ」「3つの行為」教室のラジオから来場者に問いかける声が聞こえてくる。「死ぬのは怖いですか?」「好きな食べ物は何ですか?」飛び交う様々な質問の声は地域住民に協力してもらって録ったという。その声は私たちに答えを求めるように静かな教室に響いていた。

ヘレン・ファン・ミーネ「Pool of Tears」は使われなくなった音楽室に、美しい子ども達のポートレイトが置かれている。繊細な写真はかつて音楽が流れていた教室にぴったりだった。

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次に向かったのは、今回3つ目の廃校プロジェクト「鉢&田島征三 絵本と木の実の美術館」だ。旧真田小学校に田島征三がダイナミックに絵本の世界を再現する。流木を使って作られたキャラクター達は鮮やかな色彩でいきいきと空間を駆け巡っており、まるで子ども達がいた頃の賑わいを感じられる。絵本の主人公である3人の子ども達の頭が本当に校舎から飛び出ていて、思わず笑顔になった。

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最後は松澤有子「enishi」小学校の体育館に大きなクモの巣が張っていて、息をのむ迫力だ。これは廃校になった小学校を見つめてきたクモの巣であり、そのクモの糸には役目を終えた待ち針が一本一本括られ、輝いている。地元住民との制作過程も丁寧にアルバムに記されており、アーティストとの絆を感じる。自分も制作に参加したというおばあちゃんが受付をしているのをみて、アートが地域に元気を与えていることが実感できた。

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