越後妻有アートトリエンナーレ 2009

HAPPENINGText: Sachiko Sekiguchi

3つあるインフォメーションセンターの一つ、「キナーレ」へ。地域交流館であるキナーレには大地の芸術祭の案内所があり、マップやガイドを手に入れることができる。グッズを販売しているショップもあり、オリジナルデザインの帽子や手ぬぐい等野外を歩く来場者には嬉しい品揃えだ。十日町は織物の町として栄え、キナーレの展示物もその歴史を物語るものばかりだ。芸術祭に併せ、美術系の学生が布をテーマに作品展示をしていた。若者の感性で伝統が引き継がれていくことに希望を感じる。

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十日町エリアの奥地、中平地区という小さな集落に菊池歩「こころの花〜あの頃へ〜」があり、ひっそりとした森の中でビーズで作られた花が咲き誇っていた。
2006年の制作時より本数を増やし、より見応えのある作品になっている。3万本以上の花は有機的に群生し大きな塊にも見えるが、目を凝らすと一本一本丁寧に作られている。中平地区の住民が総出で制作に携わり、まさに集落の心が集まった美しい作品だ。
作品を後にし、中平の集落を見て歩くと人間の生活と自然が近いことが肌で感じられる。瑞々しい緑が家を囲み、畑には夏の野菜が収穫を待っている。
この野菜で作った食事はどんなに美味しいだろうかと想像しながら、今日の宿に向かう。

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今回の旅でお世話になった宿は「三省ハウス」。廃校した学校を再生し、活用しようという廃校プロジェクトの一環として、旧三省小学校を改装し2006年にオープンした宿泊施設だ。こへび隊と呼ばれる芸術祭ボランティアの拠点ともなっている。学校特有の造りを活かしながら、かつての教室が明るい食堂や2段ベッドの客室に生まれ変わっている。中でも目を引いたのが、図書館。当時の蔵書が自由に読め、ソファでくつろぐこともできる。レトロな本が無造作に積み重なる本棚はとても魅力的だ。

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