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リカルド・リニエルス・スリ

PEOPLEText: Gisella Lifchitz

私たちは彼のコミックがないといけないくらいに夢中で、他の誰かに彼のコミックをプレゼントしないといられなくなる。なぜならそれを読めば全てが通じ合えるから。だからもちろん、ベットにはいって彼のコミックを読むのが待ちきれなくなる。

彼は幸せそうな小鳥が草原を飛び回る風景を夢見ていて、私も同じだ。たぶん彼が今まで都会でしか生活したことがないからだろう。『騒音、汚染や人だらけの環境なんだ。家を出たら小鳥や木々が見たいよ。でも、ここはここで楽しいから、ここから逃げ出す必要はないんだ。』

たまに彼の絵が私たちの住む世界に批判的であっても、彼は『世界はいい方向に向かっていると思うし、違う時代や場所で生きたいとも思わないよ。人間の権利は昔に比べて大分良くなってきているしね。僕は今で十分に幸せだよ。だって、したいことをやれているし、いいことだって起こるんだよ。僕の友達以外の人が、僕の本を読んでくれるなんて思っても見なかったんだから。』と。

リカルドはまたこんなことも言ってくれた。『法律と経済の勉強を始めたことがあったんだけど、あれはひどいもんだったよ。もし僕が絵を描くこと以外の道に進んでいたら、きっとみんなにとっても良くはなかっただろうね。僕はやりたいことをやっている人々と一緒にいれるのだから、僕もやりたいことをやらないとね。』

彼はとってもシンプルで面白い男だ。冗談ばかり言ってシャイな自分を隠している。これも彼の魅力なんだろう。だから彼の創り出すキャラクターを信じられるのだろう。

『僕は、僕のコミックが自由でオープンであることが好きなんだ。僕のコミックに退屈したくはないんだ。だから沢山のキャラクターを描くし、そのキャラクターがもう面白くなければなくしちゃっても平気なんだ。僕はコミックに登場する全てのキャラクターが好きだよ。全部のキャラクターを混ぜ合わせたら僕自身になると思う。謎めいていて、繊細で馬鹿な僕にね。』とリカルドは強く言う。

私は彼に好きなものと嫌いなものを聞いてみた。『なんでもない様な些細なものが本物だと思う。もし誰かに何かとても小さな発見をしたら、それがその人自身なんだろうね。みんな何か些細なもので繋がっているんだよ。』とリカルドは答えてくれた。

私は家に帰って、ましなジョークでも考えよう。貴重な小さな絵とお近づきになれたし、そこには世界中のソウルメイトがいることを知ったのだから。そして、なんであれ、そこには小さな天国のかけらがあるのだから。

Text: Gisella Lifchitz
Translation: Naoko Wowsugi

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