アートマガジン「MUTE」(ミュート)創刊

THINGSText: Asami Miyamura

東京の「他人の庭」から、2008年8月現代アートシーンの最前線で注目されている若手、中堅作家をシンプルなワンテーマで紹介するアートマガジン「MUTE」(ミュート)が創刊された。マガジンデザインは、ヒロ杉山率いるエンライトメントと話題の人たちによるデザインで、年2回の発行となっている。

MUTE

「MUTE」というタイトルについて本書の中で『(アートを見る時に)自分の外の声を消し、心の声を聞く』と説明されているが、それは本書を見るとすぐに分かる。本書はページに作品のみが掲載されており、文章は最初と最後に数ページあるのみで、作品を鑑賞する際に余計な情報が目に入らず、作品のみを展覧会のよう に鑑賞することができる、魅力のある見せ方をしている。

今回の創刊号のテーマは「すりぬける物語」と、物語的要素のある作品が集められ、個性的なアーティスト29名が集まった。本書ではその29名の作品を、更に「超俗、濃景、断片、直感、詩的」と分類して紹介している。今回はその5つの分類から一人ずつアーティストを紹介したい。

MUTE

「超俗」からは、デビッド・シュリグリー。サインペンによるドローイングによるもので、拍子抜けしそうなシンプルな作品。だが作品のシンプルさとは逆に、ドローイングや文字から考えさせられる要素は強く、社会的なメッセージを感じるものであり、彼の作品のファンも多い。

MUTE

「濃景」からは、ハーネン・バス。西洋史を題材にした作品で、古典的な深い色の中の人物達は少し不安を呼ぶようであり、ストーリー性を強く感じる。その意味のある深さに、惹きこまれてしまうような作品だ。

MUTE

「断片」からは、リカルド・ランザリーニ。白い空間の中にポツリポツリとミクロ人間が存在する、奇妙でおもしろい作品。小さな人物それぞれが違う姿で、それぞれが何かをしていて、作品全体でも部分でもじっくり見て楽しめる。

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