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ムーブ #7展

HAPPENINGText: Aya Muto

6月9日土曜日、ロサンゼルスのニュー・イメージ・アート・ギャラリーで、MOVE#7展が封切りとなった。7回目となる今回、活動拠点も違えば使うミディアム、表現言語も全く違う9人のアーティストがリッチ・ジェイコブスの指揮のもとにこの企画展をつくりあげた。何のことはないグループ展のように聞こえるかもしれないが集まった面々の名前をしかと見てほしい。それぞれのアーティストの紹介は追ってゆっくりとすることにして、いったいどうやってこれだけのアーティスト達を一堂に集結できたのか。自身もアーティストとして参加しつつ、MOVE展をここまで育ててきたリッチにまずはきいてみた。

『みんなに電話をかけまくるんだよ(笑)。その時に一緒にやりたい、と思うアーティスト達にね。』そもそも MOVE展の発火点となっているのは自分を突き動かす震源となっているもの、流れをつくり出すもとになる何かだそう。

『最初は僕にとって意味のあるものを集めただけの小さなジンだったんだ。その頃は音楽に傾倒しててね。でも気がついたらだんだんとアートの比重が増えてきて、ついにはグループ展を旗揚げするに至ったんだ。それが1997年のこと。ニュー・イメージ・アートにベースを移してからは(ニューヨーク、ペンシルバニアと2回だけ別ロケーションにて行っているが)いろんなテーマをもとにやってきたね。100人展もやったし。あれは半端な電話の量じゃなかった(笑)。』

MOVE#2のテーマとしてアーティスト達に渡されたのは、「5×7インチ」というサイズ規定のみ。そして1999年の MOVE#3「HALF FRAME PHOTO SHOW」は、ご覧のような面々で開催。これは、マーシア(ニュー・イメージ・アートのディレクター)もよく話題にする絶品のショーだったときいている。

一方でリッチは、若いアーティストたちに切っ掛けと発表の場を与え続けていることでも知られている。いったいその心がけはいつから始まったのか。『うーん、何しろ中2の頃からジン作りにはまってたからね。面白いことをやってたりする子が近くにいると、気になる癖がついたのかな。自分も物心ついた頃から何かしら描いてた。アートを自分とは違う形で成就してる人と出会うことが楽しくてしょうがないんだ。』オープニング前日の準備中だったにもかかわらず、おもむろに金づちをペンに持ち替えたリッチは、さらさらとそこらへんにあった紙にお馴染みの顔を描き始めた。

『アーティストの中には物凄い才能の持ち主なのに、仕事や生活に気をとられてなかなか筆や鉛筆を持たない、持てない人がいるんだよね。そんな時背中をちょっと押してやるという何でもないことが、その子達にとって決定的な切っ掛けを与えたりするんだ。まあ、もっともここに揃った面々はもう自分の世界ができ上がってる成熟したアーティスト達だけど。』

そこで今回は、どのようなテーマのもとこのメンバーを集めたのかときいた。建築家、イラストレーター、ぺインター、フォトグラファ−、グラフィックデザイナー、ミュージシャンと、アーティストと一口にいっても色々だ。一人でいくつも掛け持ちしてるアーティストもいる。しかも皆まちまちの活動拠点を持つ。

サンフランシスコ(エヴァン・ヒーコックス)、ロサンゼルス(カレフ・ブラウンチャズ・ボヨルケス)、ニューヨーク(ジョーディン・イシップシモーン・シューバックロジャー・スティーブンス、エリカ・ボーボア、リッチ・ジェイコブス)、ロード・アイランド(ブライアン・チッペンデール)、そしてサンフランシスコの少し南のサンタ・クルーズ(トーマス・キャンベル)まで。スケジュールを合わせるだけでも至難の技だったに違いない。実際オープニングに足を運べなかったアーティストもいたが、そこはリッチが「責任展示」をしていた。

『MOVE展をキュレーションする際にはいつも、緩いテーマを設けるようにしてるんだ。』とリッチは、きりだす。『もちろんグループ展としての機能の一部を担えるようなメンバーを選ぶんだけど、アーティスト達にはヒント程度の指示しかしない。皆独自の世界を持った僕の信望するクリエイタ−達だから、かえって曖昧なテーマをどのように料理してくれるか、そのちょっとしたズレを楽しみにしているんだ。今回のテーマは「(内面世界と)創造王国」。参加メンバーを見ても分かるように各自すでにいろんな分野で活躍中だよね。だからこのテーマにもうまく反応してくれるという確信があったんだ。』

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