エットレ・ソットサス — 魔法がはじまるとき、デザインは生まれる
HAPPENINGText: Alma Reyes
1970年代、イタリアの政情不安が激化し、ストライキやテロ攻撃が相次ぐ中、ソットサスはこの混乱から逃れる道を探した。彼はスペインのカタルーニャを訪れ、自然を満喫するとともに、石、木、段ボール、ロープ、鎖などを用いた実験を通じて、「デザインとしての建築」を探求した。その後、旅の足取りをギリシャ、イスラエル、そして米国へと広げ、そこで出会った風景と、デザインの意味について考察したメモを収めた写真シリーズ〈メタファー〉を制作した。

エットレ・ソットサス《カールトン》1981年 (デザイン/製作)、製作:メンフィス・ミラノ、石橋財団アーティゾン美術館蔵 © Erede Ettore Sottsass
ソットサスは1978年にスタジオ・アルキミアに加わったが、やがて伝説的な自身のグループ「メンフィス」を1981年に結成した。この新しいデザイン運動は、革新的な色彩構成、形態、素材、装飾模様を体現していた。1980年代のセクションにある特別な展示室では、《ダイニングチェア》(1979年)、《カールトン》(1981年)、そして《カサブランカ》(1981年)の3点を、交互に色を変えるスポットライトで照らし出している。最初のメンフィス・コレクションに属する《カールトン》は、ソットサスの最も象徴的な作品とされている。樹脂ラミネート合板製で、多彩な塗装仕上げが施されており、四角い頭を持つロボット、あるいは腕が突き出たヒンドゥー教の神を彷彿とさせる。長方形の台座に施された「バクテリオ(細菌状の有機紋様)」パターンは、時代を超えたソットサスの代名詞である。

エットレ・ソットサス《マラバール》1982年 (デザイン/製作)、製作:メンフィス・ミラノ、ビトッシ、石橋財団アーティゾン美術館蔵 © Erede Ettore Sottsass
その他、展示されている注目すべき家具としては、樹脂でラミネート加工された木材の美しい木目と抽象的な模様が際立つ《マラバール》(1982年)や、ガラス天板を備えた洗練されたテーブル《マンダリン》(1981年)などがあり、後者は脚部にソットサスがデザインした象徴的な幾何学模様が施され、上部と下部が赤く強調されている。
また、メンフィスに所属していた倉俣史朗による《トウキョウ》(1983年)とミケーレ・デ・ルッキによる《セバストポール》(1982年)のテーブル2点も展示されている。

左:エットレ・ソットサス《アルコル》1983年 (デザイン/製作)、石橋財団アーティゾン美術館蔵 © Erede Ettore Sottsass; 右:エットレ・ソットサス《シリウス》1982年 (デザイン/製作)、製作:メンフィス・ミラノ、トソ・ヴェトリ・ダルテ、石橋財団アーティゾン美術館蔵 © Erede Ettore Sottsass Photo: Alma Reyes
メンフィス時代の素晴らしい花瓶コレクションの数々は、鮮やかな色彩と折衷的な形状を特徴としており、単なる装飾にとどまらず、生命力あふれるエネルギーを醸し出している。非対称でトーテムのようなシルエットや、子供のような彫刻を彷彿とさせるこれらの器は、丸みを帯びた胴体、円錐形の要素、そして球形の台座を備えている。その一例として、豊満なボリュームの吹きガラス製花瓶が幾重にも積み重なった魅力的な《アルコル》(1983年)や、同じく手吹きで作られた《シリウス》(1982年)が挙げられる。《シリウス》は、円錐形の黒い台座の上に、2つの黄色いリングに挟まれた淡い青色の球体が載っている。鮮やかな赤色の胴体に波打つような取っ手がついたその姿は、まるでトロフィーのようだ。
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