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アレック・ソス 部屋についての部屋

HAPPENINGText: Alma Reyes

国際的写真家集団マグナム・フォトの正会員であるアメリカの写真家アレック・ソスは、そのストーリー性のある作品で世界的に高い評価を受けてきた。彼の写真の多くは、生まれ育ったアメリカ中西部や、旅先で出会った風景や人々を中心に構成されている。数々の賞を受賞し、サンフランシスコ近代美術館、ヒューストン美術館、ロンドンのサイエンス・ミュージアムなどで展覧会を開催。ニューヨーク・タイムズ誌、フォーチュン誌、ニューズウィーク誌などで撮影も行っている。

2025年1月19日まで東京写真美術館で「アレック・ソス 部屋についての部屋」が開催されている。本展は、30年に及ぶソスの歩みを単に振り返るのではなく、展覧会のタイトルにちなみ、ソスの被写体が占めるインテリア、ポートレイト、私物など室内空間に焦点を当て、これまでのソスの作品を紹介している。


アレック・ソス《Crystal, Easter, New Orleans, Louisiana》〈Sleeping by the Mississippi〉より、2002年、作家蔵 © Alec Soth

ルーム1では、1992年から2002年にかけて撮影され、2004年に初めて出版されたシリーズ『Sleeping by the Mississippi』から、主にソスの初期のカラー写真を見ることができる。この写真紀行では、ソスがミシシッピ川沿いを車で移動しながら、あちこちを訪れ、道すがら人々と交流した。《Crystal, Easter, New Orleans, Louisiana》(2002年)は、ニューオーリンズのゲイ・イースター・パレードで出会ったクリスタルを、彼女の部屋で撮影したもの。人々の生活を正直に描写することで、見る者を手つかずの現実に近づける。同じ結果は、《Sugar’s, Davenport, Iowa》(2002年)やテネシー州メンフィスの《Jimmie’s Apartment》(2002年)にも現れている。シュガーズはダベンポートにある売春宿で、ソスはそこで娼婦や客と出会い、写真撮影を約束していた。


アレック・ソス《Two Towels》〈Niagara〉より、2004年、作家蔵 © Alec Soth

2006年に出版されたソスの2冊目の写真集『Niagara』は、ルーム2で紹介されており、ナイアガラの滝周辺の風景やモーテルの外観、休暇中のカップルや家族などが描かれている。《Two Towels》(2004年)は、モーテルの部屋の中で撮影された一枚で、ベッドに置かれた2枚のタオルがハートと白鳥のようにカーブしているところを写し留めている。ナイアガラは新婚旅行者の天国と評判で、被写界深度を調整し、控えめな背景にシンボリックなタオルが大胆に浮かび上がるようにしたソスの技術は、この写真をまるでロマンチックなドールハウスのように見せている。


アレック・ソス《Bil, Sandusky, Ohio》〈Songbook〉より、2012年、東京都写真美術館蔵 © Alec Soth

また、この部屋には1996年頃に撮影されたモノクロームのシリーズ『Looking for Love』もある。ソス自身の《Self-Portrait on My Wedding Night, Saint Paul, Minnesota》(1996年)などのショットは、中西部でのエピソードを回想している。工場や建物、カップルやその他の地元の人々が通りやレストランでうろうろしていたり、ポーカーゲームをしていたり。それは、ソスが人々とその物語に対する深い好奇心を解きほぐした時期であった。

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