「カルダー:そよぐ、感じる、日本」
HAPPENINGText: Alma Reyes
もうひとつの部屋では、墨色の和紙でタイリングされた壁を背景に、カルダーの彫刻と絵画が、モンドリアンからインスピレーションを得た赤、黄、青の色彩的なコントラストを生み出している。印象的な赤と黒のスタビル《Sword Plant》(1947年)は、不在と負の空間を表現した赤い穴の開いた土台に、江戸時代の宮本武蔵を彷彿とさせる2本の刀のような黒いプレートが加えられている。
Installation view of room with washi paper, Calder: Un effet du japonais, Azabudai Hills Gallery, Photo: Tadayuki Minamoto
ホールに飾られたモビール《Untitled》(1956年)は、カルダーの不均衡への傾倒を示唆している。黒が主要な色で、そこに赤、黄、青のプレートが不等辺に配置されている。カルダーは、彼の実践を表現するのに「不一致」という言葉を好んだ。『ある身体が、それ自体で何か別のことをしている別の身体に対して動くというアイディアは、私にとって非常にエキサイティングなものだ。つまり、形、大きさ、密度、色、動き、そしておそらく他のいくつかのものの不一致である』と述べている。
Alexander Calder, Untitled, 1956 © Calder Foundation, New York
彼の絵画には、ロシアの画家カジミール・マレーヴィチやワシリー・カンディンスキー、そしてアーサー・ダヴのようなアメリカの抽象画家の影響がみてとれる。油彩画の《Pinwheel and Flow》(1958年)や《São Paulo》(1955年)は、自発性、非対称性、エネルギーを特徴とする作品の一例だ。
Installation view of Calder: Un effet du japonais, Azabudai Hills Gallery, Photo: Tadayuki Minamoto
カルダーの芸術は、目的を持たずとも鑑賞者の感情を揺さぶるような瑞々しい体験の高みへと私たちを引き上げてくれる。この展覧会では、作品のみならず、床、壁、天井へと視線を巡らせながら、そのような状態を探求する。『私の作品は実用性も意味もない。ただ美しいだけです。もちろん、意味があれば理解するのは簡単だが、その価値はないだろう。』— アレクサンダー・カルダー
「カルダー:そよぐ、感じる、日本」
会期:2024年5月30日(木)〜9月6日(金)
開館時間:10:00〜18:00(金・土・祝前日 19:00まで)
休館日:8月6日(火)
会場:麻布台ヒルズ ギャラリー
住所:東京都港区虎ノ門5-8-1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザA MB階
TEL:03-6402-5460
主催:麻布台ヒルズ ギャラリー
共催:Paceギャラリー
企画:アレクサンダー・S.C.ロウワー
展示デザイン:Stephanie Goto Architecture
https://www.azabudai-hills.com/azabudaihillsgallery/
Text: Alma Reyes
Translation: Saya Regalado
All works by Alexander Calder
All photos courtesy of Calder Foundation, New York / Art Resource, New York © 2024 Calder Foundation, New York / Artists Rights Society (ARS). New York