ポール・マッカートニー写真展 1963-64 ~EYES OF THE STORM~
HAPPENINGText: Alma Reyes
ポール・マッカートニーといえば、ザ・ビートルズを代表するスターのひとりとして世界中に知られている。しかし、ポール・マッカートニーが才能豊かな写真家であることを、ご存知だっただろうか?
今年9月24日まで、六本木ヒルズ森タワー最上階の東京シティビューで、「ポール・マッカートニー写真展 1963-64 ~Eyes of the Storm~」が開催されている。1962年にデビューし、瞬く間に世界のトップミュージシャンとなったザ・ビートルズ。本展では、ザ・ビートルズが世界を熱狂させ社会現象となる1963年12月から、「エド・サリバン・ショー」でアメリカを席巻した1964年2月までの約3か月間に、マッカートニーが自ら撮影した貴重な未公開プライベート写真、約250枚が公開されている。
Entrance, Paul McCartney Photographs 1963-64 Eyes of the Storm, Tokyo City View, Roppongi Mori Hills Tower
マッカートニーが写真の世界に飛び込んだのは偶然ではない。幼少期に初めてコダックのブラウニーカメラを手にして以来、写真撮影に夢中になった。兄のマイクも熱心な写真家で、彼やバンドの写真をたくさん撮っていた。マッカートニーは1969年に写真家のリンダ・イーストマンと結婚。バンドには常に写真家が群がっていたため、マッカートニーは彼らの仕事を観察し、テクニックを学んだ。さらに、ドイツ人写真家アストリッド・キルヒヘアは、マッカートニーに撮影技術を磨くよう説得した。
Entrance, Installation view, Paul McCartney, Self-portraits in a mirror. Paris, January 1964 © 1964 Paul McCartney under exclusive license to MPL Archive LLP
展覧会は年代順に9つのセクションで構成されている。モノクロームの自画像、リバプールでのビートルズ初期のイメージ、ロンドン、パリ、ニューヨーク、ワシントンD.C.でのツアー、マイアミでのカラー写真が中心となっている。さらに、マッカートニー自身の声による音声ガイドのナレーションが、ビートルズの舞台裏の思い出を鮮明に浮き彫りにしている。エントランスでは、天井高11メートルの開放的な展望デッキの窓を背に、ビジュアル・パネルがすぐに目に飛び込んでくる。1964年にパリで撮影された3枚の自画像には、カメラを構える若き日のマッカートニーの姿が収められている。
Entrance, Installation view, The Beatles
その下には、ザ・ビートルズの4人のメンバー、マッカートニー、ジョン・レノン、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターの高さ2メートルの巨大な写真のインスタレーションがある。また、ガラスケースの中には、有名な《ビートルズ・フォー・ヘッズ》(1964年)のブロンズ像と、マッカートニーが使っていた35mmカメラも見ることができる。
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