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「カルダー:そよぐ、感じる、日本」

HAPPENINGText: Alma Reyes

カルダーは、フランスに渡る少し前の1925年に、ニューヨークの動物園に出かけて、何百枚もの動物たちのスケッチを描いた。翌年、そのうちの141枚が彼のマニュアル『アニマル・スケッチ』として出版された。展示されている動物たちの絵は、水墨画のようなダイナミックな筆使いで描かれており、これらの動物とその動きに特化した習作から、カルダーの作品群を理解するヒントを得ることができる。


Alexander Calder, Black Beast, 1940, Photo: Ken Adlard

動物という生き物を示すもうひとつの作品は、《Black Beast》(1940年)だ。精悍な黒の存在感が逞しく力強いこのスタビルは、1960年代から1970年代にかけて世界各地で設置される屋外彫刻の先駆けとなった、まさに記念碑的な作品である。


Installation view of Calder: Un effet du japonais, Alexander Calder, Seven Black, Red and Blue, 1947 / My Shop, 1955/ Untitled, c. 1932, Photo: Tadayuki Minamoto

カルダー作品の基本色を成す黒い天井と白い壁と調和した赤土の土壁を背に、2点の重要な絵画が掛けられている。1956年に日本橋高島屋での展覧会で初公開された油彩画《Seven Black, Red and Blue》(1947年)は、流動的な形の抽象的な構成を代表する作品。また、《My Shop》(1955年)は、コネチカット州ロックスベリーにある当時のカルダーのアトリエの内部を描いた平面作品だ。


Alexander Calder, Un effet du japonais, 1941, Gift of Alexander S. C. Rower in memory of Howard Rower, 2022

カルダーは1931年にキネティック・アート(動きを取り入れた彫刻作品)の開発を始め、翌年、彼は初めてぶら下がるモビールを制作した。カルダーは幼少期から、動く物に絶えず惹かれていた。11歳のとき、彼は触れると前後に揺れる犬とアヒルの彫刻を両親にプレゼントしている。《Untitled》(1933年)では、紐でつながれたダボに3つの木製のオブジェクトを吊り下げ、独立した動き、非物質性、可変的なスケールを表現した。生前のカルダーは、来日は叶わなかったものの、スタンディング・モビールの《Un effet du japonais》(1941年)は、日本的な優美さとミニマリズムを感じさせる見事な作品だ。

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