AWE(アーギュメント・ワールド・エキスポ)2021

HAPPENINGText: Taketo Oguchi

160の企業が参加した展示エリアでは、前述のナイアンティック社や8THウォール社の体験型ブースには常に列ができるほどで、ヘッドセットやグローブ、ブーツ、ARウォールなどガジェット(デバイス)や、独自の最新技術を紹介するスタートアップ企業のブースも数多く見ることができた。

ヘッドセットは、日本でも馴染みのあるオキュラス社の「クエスト2」や、没入感のあるゴーグル型の最高品質を誇るヴァルヨ社の「エアロ」(約24万円)から、軽量型のレイバンタイプのものまで幅広いライナップがあった。


ハプトエックス社の装備を体験する来場者の様子。指に沿ったワイヤーから空気が送られ、小さな袋が膨らむことで、物を触る感覚をリアルに再現することができる。

グローブも様々なタイプがあったが、ハプトエックス社のリアルな触覚を与えることができるグローブ型触覚デバイスが注目を集め、今年のVRアワード大賞を受賞した。また、VR空間を移動するためのブーツでは、装備し実際に歩く感覚を持ちながら(実際は移動せず)移動できるエクト社ものが注目を集めていた。


エクト社のデモプレゼンテーション映像。ワイヤレス駆動を実現するためのバッテリーは日本が誇る工具メーカー、マキタのものが使われていた。

その他のコンテンツとして興味を持ったのが、VR空間内で行われる「パンドラの箱を探せ」(Finding Pandora X)という、ダブルアイ・スタジオによるリアルタイム演劇で、観客はVR空間で、プロの役者が演じるアバター(キャラクター)のパフォーマンスをその世界へ入り込んで鑑賞し、また劇に参加したり、空を飛んだりと、インタラクティブな様々な体験を行うことができるというものだ。


このパフォーマンスは、ヴェネツィア・ビンナーレ2020で初演されVR大賞を受賞するなど、新しいエンターテインメントの形として注目を集めている。現在も不定期で開催されているので興味のある方は彼らのサイトをチェックしてほしい。

今回このようなXR技術のトレンドに関するカンファレンスに初めて参加したが、全体の感想として、アバターやマトリックスなどで描かれたSFの世界がもう目の前までやってきていると肌で感じた。スタートレックのホロデッキでの体験のように、誰でも近い将来、自分の見てみたい世界に入り、そこで現実世界と変わらない実体験を伴うトレーニングや様々な体験を行えるようになるだろう。

現在ネットやスマホ、ゲーム中毒が社会現象となっているように、メタバースの世界では、さらにそれよりも強い依存症状が出るだろうことは容易に想像でできる。技術の進化を歓迎する一方、それどう向き合っていくか、個々が真剣に考えていかなければならない時代が来ている。

AWE 2021
会期:2021年11月9日(火)〜11日(木)
時間:10:00〜18:00
会場:Santa Clara Convention Center
住所:5001 Great America Pkwy, Santa Clara, CA 95054
TEL:+1 201 205 2236
https://www.awexr.com/usa-2021/

Text: Taketo Oguchi
Photos: Courtesy of AWE

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