KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2021

HAPPENINGText: Amelia Ijiri

今年の9月18日から10月17日まで京都で開催された、KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2021 のテーマは「エコー」。2011年の東日本大震災、津波、福島原子力発電所事故からの10年間と、大震災から10年の節目となる2021年に起こった新型コロナウイルス感染症のパンデミックの1年目を振り返る展覧会であった。今年参加したアーティストたちは、様々な媒体によって、私たちの生活にも呼応(エコー)するそれら悲劇的な出来事や個人的な境遇について、彼らの深い熟慮を共有する作品を制作した。展示会場は市内複数箇所に及んだ。以下に主な展示作品を紹介しよう。


Richard Collasse, The Wave — In Memoriam at Nijo-jo Castle Tonan Sumi-yagura (Southeast Watchtower). Photo: Takeshi Asano

二条城の灯りのない真っ暗な物見やぐら(東南隅櫓)において、懐中電灯を持ちながら鑑賞するように展示されたリシャール・コラスの「波―記憶の中に」。この作品は2011年の津波の後の残されたがれきが脳裏に焼き付くようなポートレートである。当時、報道の対象は原発事故にあっという間に取って代わったが、コラスにとっては津波の犠牲者への敬意を払うことが津波の忘却を防ぐ方法になっているのである。コラス曰く『忘却ほどの悲劇的はない』


Damien Jalet & JR, Brise-Lames at Nijo-jo Castle Ninomaru Palace Daidokoro Kitchen. Photo: Takeshi Asano

二条城ではさらに、水をモチーフにした神話的なダンスを撮影したダミアン・ジャレ&JRの「防波堤」、竹ひごが編み込まれた超現実的な螺旋形の造形物である四代田辺竹雲斎の「STAND」、小原一真の「空白を埋める」が展示された。「空白を埋める」の小原は「見えるものと見えないもの―空白地で知覚し、他者の痛みを創造する」にて福島原子力発電所事故の制限区域とそこで働く人々の記録について語り、キュレーションを担当した天田万里奈は「日本社会が災禍のトラウマから回復するために」にて新型コロナ感染症陽性患者に対する看護師・介護士のまなざしについて言及した。


Atsunobu Katagiri, Sacrifice at Nijo-jo Castle Ninomaru Palace Daidokoro Kitchen. Photo: Takeshi Asano

また、二条城の二の丸御殿台所では片桐功敦の「Sacrifice」が展示された。汚染土の詰められた、耐久性を有する産業用プラスチックバッグ(フレコンバッグ)が台所の至る所に据え置かれ、写真が添えられている。それらの写真を見ると福島県において表土を5cm削り取る方法で行われている除染作業について思いを馳せざるを得ない。表土の土壌には鉱物や有機物、動物の死骸が分解されたものが含まれているため、土を削り取ることによって生命のサイクルが中断されることになる。いけばなにおいて在来植物を用いる片桐のバックグラウンドもあいまって、プラスチックバッグの中央に添えられたいけばなの写真は生けるものと死せるものへの供物として機能している。

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鈴木将弘
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