スーパーマーケット 2018

HAPPENINGText: Victor Moreno

フェアの社会的側面の一つとして、参加者の会話に何らかのオープン性があることに気づく。会場内で最もカラフルなギャラリーの一つであるヌロバズ・ギャラリーは、イスラエルのテルアビブにある新鋭アーティストが協力し運営するスペースだ。スーパーマーケットでの彼らの展示は、心と体の性別に差のあるトランスジェンダーに焦点を当てた「Boys “R” Girls」。

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Nulobaz Gallery Photo: Tijana Pajovic

展示エリアの中で靴を脱いでもらうことにより、自然と参加者の滞在時間が長くなる。それにより参加者が展示の内容を理解する時間が増え、一層魅力的なものとなる。さらにはインスタレーションブースにいるアーティストとの会話をも促す。ショーケースルームのいたるところに、ネオンライトや粘土などの様々な素材で作られたフィギュアのようなおもちゃがある。これらのおもちゃは、アイデンティティを定義するために人間が客観的に互いを見る様子を表現している。たとえば、ミンチ機のように見えるあるおもちゃには、「エゴ粉砕機」という名前がつけられていて、粘土でできたキャラクター達は異なるアイデンティティーを象徴し、最終的には社会の規範と基準をどう再考するかという問題を投げかけている。

Mwandale Mwanyekwa at work
Mwandale Mwanyekwa at work

タンザニアのダルエスサラームで活躍する女性作家が手がける木製の彫刻はタンザニアのエボニー材で作られている。彼女が属する「14+Artists」というアーティスト集団は創作、開発、経験の共有というプラットフォームを使用し、社会的、政治的、経済的課題に取り組むとともにタンザニアの現代アートを発展させるという共通の目的を持ち、地域内外を問わずに活動を行っている。彼女の彫刻は、自分の信念と人生観という観点からインスピレーションを得ていて、又、自分自身の解釈による自分の姿を表現している。

Tijana Pajovic 1
Photo: Tijana Pajovic

世界を代表するアーティストが集まるこのフェアは、非常に華やかなものである。さらに注目すべき出展者として、2006年以降から視覚芸術、音/音楽、読書、政治的行動に至るまでの展示を行っているストックホルムのギャラリー「TEGEN2」、短期実験プロジェクト、研究ベースのプレゼン、パフォーマンス、上映会や小規模のイベント、時には一点物の展覧会を行うイランのテヘランにあるプロジェクトスペース「エレクトリック・ルーム」、2007年にドイツのフランクフルトで設立され、今回のスーパーマーケットで現代の自主制作アートに焦点を当てヘルマン・ニッチュのパフォーマンスとアクションアートからのビデオ/写真素材を展示していたアートスペース「クンストフェライン・ファミーユ・モンテス」、2009年にロサンゼルスで創設しダウンタウンロサンゼルスにあるスペースで展示を共に企画するアーティストやキュレーターにより成り立っているギャラリー「ダーデン&レイ」が挙げられる。

概してスーパーマーケットでは、世界中から自主制作アートの代表者を集め、これら全てのアーティストを支えて励まし、独自の国際的なネットワークを作り、国際アーティストの拠点としてフェア自身を向上させるという目的をまた新たに達成した。

Supermarket 2018
会期:2018年4月12日〜15日
時間:11:00〜20:00
場所:Slakhusområdet、Fållan 10, Slakthusområdet, Stockholm
入場料:120 SEK

info@supermarketartfair.com

http://supermarketartfair.com

Text: Victor Moreno
Translation: Yumico Miyagawa
Photos: Tijana Pajovic, Courtesy of Supermarket

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