ストックホルム国際映画祭 2018
HAPPENINGText: Victor Moreno
第29回目となるストックホルム国際映画祭は、期待を裏切らず、今回も選び抜かれた最も魅力的な映画を取り上げた。このイベントは今や映画が世界へ羽ばたく扉ともなっている。
今回出席した監督は半数以上が女性で、これまで以上に女性が注目を集めるイベントとなったが、今年の特別功労賞に女性として初めて選出されたのは、カルト映画「アメリカン・サイコ」、テレビシリーズ「シックス・フィート・アンダー」を制作した、カナダの映画監督メアリー・ハロン監督だ。ビジョナリーアワードは、これまでアカデミー外国語映画賞の二度の受賞歴を持つイランの映画監督、アスガル・ファルハーディーに授与された。
Stockholm Lifetime Achievement Award Winner, Mary Harron Photo: Katriina Mäkinen © Stockholms Film Festival
受賞者の最新の作品の上映も行われた。「チャーリー・セッズ」は、メアリー・ハロンがチャールズ・マンソンの名で行われた殺人に関わった3人の女性の背後にある心理をめぐる物語。また2018年のカンヌ国際映画祭で初上映となったファルハーディーによるスペインのスリラー作品「エブリバデイ・ノウズ」は、世界中で上映されている。
Visionary Award Winner, Asghar Farhadi Photo: Calle Andersson © Stockholms Film Festival
今回の第29回の映画祭では、世界60カ国から150本の映画が上映された。その雰囲気を少しでも味わってもらうために、今年注目を集めたタイトルのいくつかをあげてみたい。まずはすでに述べたアスガル・ファルハーディーの「エブリバデイ・ノウズ」、ヨルゴス・ランティモスによる「ザ・フェイバリット」、ブラディ・コーベットによる「ヴォックス・ルクス」、そしてルカ・グァダニーノによる「サスペリア」だ。
『功労賞はキャリアに与えられる賞です。メアリーが初の女性の受賞者となったのは、多くの女性が多くの映画のキャリアを持っているわけではないからです。彼女の経歴を見ると、テレビを含む23もの作品があります。』映画祭のディレクター、ギット・シェイニウスはこのように説明している。
さらに、映画祭では、フランス系アルゼンチン人の映画監督ギャスパー・ノエの新作「クライマックス」の新作を上映。ドラッグが混ざったサングリアを飲んだ若いダンサーたちが繰り広げる錯乱、パラノイア、ヒステリーが飛び交う夜の物語を追うストーリーで、一つの場所で15日間、年代順に撮影されたもの。上映後のパーティーでは、ゲスト全員にサングリアが提供された。
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