スーパーマーケット 2018
HAPPENINGText: Victor Moreno
インディペンデント系の国際アートフェア「スーパーマーケット」が、4月12日から15日に渡ってスウェーデンで開かれ、今年で13回目を迎えた。スーパーマーケット 2018は「レガシー」を最も重要なテーマとして挙げている。「レガシー」という言葉により、もし人間がいなくなったら果たして何が残るのか、という疑問を参加者に投げかけている。
今年のフェアはストックホルムの南にある食肉加工場地域、スラックツフースオムラーディクに移動した。ここは、この記事が読まれている間にも新たな街ができるほど劇的に変化している工業地域で、スウェーデンの都市の中でもレストランや遊べるスポットなどが連なる最も新しい住宅街になっている。
今年は150人以上のアーティストが出展し、さらには記録的な参加者を集めるという快挙を成し遂げた。スーパーマーケットではアーティスト同士が刺激し合えるよう、グループディスカッション、トーク、パフォーマンス、ワークショップなども開催される。このアートフェアは、2007年に「新しい商業アートフェア市場への反応」としてスタートした。このフェアの本来の目的は、売り上げを中心とする商業的な面に焦点を絞るのではなく、アーティストと参加者が国境を越えて出会うことで、スカンジナビアや国際的なアーティストのアート中心地としてネットワーキングを提供する場でもある。
Ivana Cekovic, Musel Link asbl MIMO project space
ルクセンブルグのアスペルトに拠点を置く「ミュセルリンク ASBL MIMO プロジェクトスペース」は、2D作品は最大A5サイズ、3D作品は最大10cm角、ビデオ作品は1分30秒以内という手のひらサイズアートを展示していた。メンバーの一人、イヴァナ・ セコヴィックはガラスの上にアクリル絵の具で絵を描くアーティスト。彼女の作品のミニチュア彫刻作品は、ピンク、イエロー、グリーン、ブルーの鮮やかな色で筏の上に立ち夕焼けに向かって漕でいく女性を描いている。その小ささのため、手にとってみると遠く離れているように感じさせる神秘的な部分を持ちながらも、且つ親密な気分にさせる作品だ。
Sanna Neumann, OEI
フェアの他の参加者とは少し変わった出展者、ストックホルムに拠点として活動する雑誌「OEI」は実験的な思考や詩、芸術、哲学、映画、または批判的な内容の調査、論説の発表、審美的な技術、非肯定的な執筆、推論的な考古学、新しい生態学および主流でない歴史的事象などのトピックを取り上げた書籍を年に4冊ほど出版している。OEIを運営するセシリア・グレンベルイとヨナス・マグナッセンは、多くの刊行物を同時に手がけるために一つ一つの形式や制作手順、デザイン、印刷テクニック等を幅広く試してきたという。また、OEIが様々な分野のアーティストをコラボレーションさせることは稀でなく、毎回繰り出される異なったテーマに沿り新たな共同チームが企画される。これにより、それぞれの出版物に民主的なアプローチの機会が作り出される。
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