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北海道アール・ブリュット展

HAPPENINGText: Ayumi Yakura

アール・ブリュットとの思いがけない『接点』を生み出す展覧会。

専門的な美術教育を受けていない作家が、障がいの有無に関わらず、心のまま自由に創作する美術表現で、フランス語で『生の芸術』を意味する「アール・ブリュット」(アウトサイダー・アート)への関心が世界的に高まっている今、クロスホテル札幌にて「北海道アール・ブリュット展」が3月31日まで開催されている。本展は、クロスホテル札幌とクラークギャラリー+SHIFTのコラボレーションで展示を行う「まちなかアート・クロス・エディション」の第23弾。

今回は、北海道アール・ブリュット・ネットワーク協議会の協力で、北海道のアール・ブリュット作家達による個性豊かな作品を、ホテルのモダンな内装に調和する構成で展示。観光や食事など、様々な目的でホテルを訪れる人々に『アール・ブリュットとの思いがけない接点』を生み出している。

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「無題」© 吉田幸敏(1955年〜), 2016年, H 485〜690 mm, 新聞粘土

北海道アール・ブリュット・ネットワーク協議会は、広域にわたる北海道の障がい者の芸術活動を繋ぐ目的で、道内の障がい者施設や福祉協会10施設を中心に、弁護士や美術専門家も加わった体制で2015年に発足。本展では、同協会及び「当麻かたるべの森美術館」で、障がい者への制作サポートや企画展示を担当している菊地雅子をアドバイザーに迎え、北海道の様々な地域で活動する8作家の作品が展示された。

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「無題」© 鉄地河原勝彦(1961年〜), 2003年, 830 x 1,030 mm, 紙に墨、アクリル

コンシェルジュ席の後ろ、ホテルを訪れた人が最初に目にする作品は、鉄地河原勝彦(当麻かたるべの森美術館)が、施設のスタッフや家族の作品を描く事が多かった2003年の絵画だ。彼はいつも、歩き回ったり本を眺めて過ごす中で、突然描き始め一気に完成させるのだという。近年は、画面に様々なモチーフを描いた物語性のある作風に変化している。

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「オカメインコ」「コーギーのケリック」「アメリカンショートヘア(振り向き姿)」© 蛯子陽太(1992年〜), 2016年, 1,167 x 910 mm, 木製パネルにアクリル

来館者がソファで寛ぐロビー中央には、蛯子陽太(NPO法人とむての森/北見市)の3作品が展示された。彼は幼少の頃より創作を行ない、動物や昆虫などをモチーフとして描いている。観察した生命体を映像記憶する能力があり、モチーフを見ながらで無くてもその特徴を描き起こす事ができる。しかし菊地氏は、彼を天才ではなく、日常の全てを費やし生命を表現する努力家であるという。この10年で作風が変わり、今後も楽しみな若手作家だ。

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「無題」© 上杉克也(1945〜2013年), 2003年頃, 350 x 470 mm, 紙に墨

物故作家である上杉克也の実家は養豚業を営んでいたといい、愛着を持っていた動物をモチーフとした作品が多い。犬や猫などの身近な動物のみならず、象や猿なども描き残されている。白い紙に墨でのびのびと描かれた線が特徴的で、シンプルでありながら、一目見れば彼の作と分かる独特の味わいがある。

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