アートフェア札幌 2016

HAPPENINGText: Ayumi Yakura

アートフェア・アジア」の実行委員長も務める森田俊一郎による「ギャラリー・モリタ」(福岡)では、長年の功績により2014年にスペインの文化功労賞を受賞し、惜しまれながら今年10月末にマドリードで逝去した堀越千秋の作品が複数出品されており、多くの人に親しまれたANAグループ機内誌「翼の王国」表紙絵の原画も見ることができた。

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1307号室 Gallery MORYTA(福岡)

「ヤスモト・グレー」の美しさで知られる安元亮祐は布を貼り重ねた新作も出品。他にも河原朝生の絵画など、ベテランの作品が惜しげもなく並べられる中、三津木晶など若手作家の抽象画も出品されていた。九州の作家が紹介されるのは今年が初めて。

国内のギャラリーのみならず、アジアの都市からも出展がある。今年は、ソウル(韓国)と上海(中国)のギャラリーが出展した。

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1411号室 LeeSeoul Gallery(韓国)

優れた韓国作家を国内外へ紹介している「リソウル・ギャラリー」(韓国)の、ゆったりとしたソファのある壁に並べられていたのは、ウム・ヨンイルが、祖国の田舎、そして茅葺屋根で知られる日本の集落「祖谷」を訪れて描いたという風景画。誰かにとって懐かしく、また誰かにとっては訪れたくなるような情景が、素朴な筆致で表現されていた。ハン・ジョンアが水彩色鉛筆で描いた花は、重なり合う花びらの生命力が、繊細である事によって生み出される力強さで描写されていた。

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1412号室 office339(上海)

オフィス339」(上海)は、鳥本健太により設立され、上海を拠点に現代アートを扱うアートマネージメント会社。ソン・シによるモノトーンの新作シリーズ「未知的恒星」や、穴のあいたCDの盤面に女性が描かれた作品が展示された他、部屋の一角には、ウェンウェン・シによる「価格おまかせプロジェクト」が展開されていた。アーティスト手作りの革小物や指輪があり、「作品を選んだ理由」と「設定した価格の理由」を書くことで、その名の通り、各自が設定した好きな金額で作品を購入できた。

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