アンドレアス・グルスキー展

HAPPENINGText: Maaru Hiyama

ロサンゼルスのディスカウントショップで撮られたこの作品は水平の構図と色鮮やかなモチーフである99セントの商品が目に楽しい一枚である。大量に安売りされるモチーフと厳格なまでに水平な構図は雑多な消費社会がミニマムに表現されてしまう皮肉を感じる。

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アンドレアス・グルスキー《99セント》1999年、C‐プリント、2,070 × 3,250 × 62 mm 
© Andreas Gursky, JASPAR, 2013/14 Courtesy Sprüth Magers Berlin, London

北朝鮮の首都ピョンヤンで撮影された年に一回のマスゲーム大会「アリラン」の様子である。機械によって整列させらたかのように美しく並ぶ少女たちさえも彼の構図の一つにされるとミニマルアート的な美しさを持つが、それだけではないのが絵画にはない写真の魅力である。それは、少女たちのつくる表情である。これは絵画ではつくれない偶然性があり、それをカメラを使い緻密に表現されている。グルスキーは写真と絵画両方の良いところを抽出し、それを独自のスタイルにできる数少ない芸術家である。

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アンドレアス・グルスキー《ピョンヤン I》2007年、C‐プリント、3,070 × 2,155 × 62 mm 
© Andreas Gursky, JASPAR, 2013/14 Courtesy Sprüth Magers Berlin, London

今回の展覧会では時代も大小もバラバラの展示方法であり、グルスキーの作品を初めて観る人にとってはバランス良く心地よい裏切りの連続ではなかっただろうか。グルスキーの作品を知っている人も彼の作品をあらゆる方面から観賞できることだろう。ぜひ、大画面でグルスキーの美しさを感じて欲しい。

アンドレアス・グルスキー展
会期:2014年2月1日(土)~5月11日(日)
時間:10:00~17:00(金曜日は19:00まで)
休館日:月曜日(但し4月28日、5月5日は開館)
会場:国立国際美術館
住所:大阪市北区中之島4-2-55
TEL:06-6447-4680
https://gursky.jp

Text: Maaru Hiyama
Photos: © Andreas Gursky, JASPAR, 2013/14 Courtesy Sprüth Magers Berlin, London

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