ロンドン・デザイン・フェスティバル 2013
HAPPENINGText: Mike Sullivan
2003年の初開催以来、世界の中でも最も重要なデザインイベントとして位置づけられてきたロンドン・デザイン・フェスティバル。今年は304の出展者とイベントがロンドンの街に繰り広げられ、デザインの価値や、アートと同様に如何に産業がデザインを必要としているかという意識を大衆、そして政府にも知らしめることができた。
フェスティバルの創始者であるジョン・ソレルとベン・エヴァンスは、ロンドンの既存デザインの繰り返しでなく、最も先端を行く一般市民や才能あるイギリスの人々を巻き込む、驚きのある祭典を創りたいと考えていた。例年同様、全ての行事が素晴らしかった。ロンドンの街角のいたるところで何かしらのイベントが行われ、新聞はフェスティバルの記事でいっぱいだった。
Endless Stair designed by dRMM for London Design Festival 2013
2007年にフェスティバルは画期的なプロジェクトのシリーズをスタートした。ゴールは、ロンドンの人気エリアから生まれる新しい素材とプロセスを駆使し、最良のデザイナーと建築家を見つけること。今年のプロジェクトはテート・モダンの「Endless Stair(終わりのない階段)」と題された、15のつなぎ合わされた階段からなる展示だった。最終的にはどこに行くわけでもない、しかしその頂上からは街の壮大な景色を見渡すことができる。ロンドンの雑誌に取り上げられ一躍大人気となり、多くの人々がただその階段を昇るためだけにこの場所を訪れた。
この作品はロイヤル・カレッジ・オブ・アート建築学科の学長であるアレックス・デ・リイクによるデザインで、アメリカ製のユリノキの木材で作られた44の立方体で構成されている。作品の背景には、未来の建築現場ではどれだけ木材が使用されるのかというコンセプトがある。たとえば、アメリカ製のユリノキは豊富で供給が持続可能な素材であるため、建築作業を素早く行うことができる。このような例から、木をクリエイティブに利用するメリットを多くの人々にも気づかせてくれることを願っているのだ。
Bocci at the Victoria and Albert Museum for the London Design Festival 2013, Photo: Nick Barr
自然とサステナビリティ(環境を破壊することなく資源利用を持続することができる状態)のコンセプトについては、いくつものイベントが開催された。サックラーセンターやV&Aミュージアムでは街と水についてのセミナーが行われたり、「自然がどのように車をデザインするか」といった特別企画もあった。20ポンドのタッチスクリーン・コンピューターのクリエイターでもあるサニート・シン・チューリによる、テクノロジーの利用がいかに世界を変えるか、についての討論を聞く機会もあった。
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