ロンドン・デザイン・フェスティバル 2011
HAPPENINGText: Yumiko Isa
今年で9回目となるロンドン・デザイン・フェスティバル(以下LDF)が、9月17日から25日にかけてロンドンで開催された。過去最大となる注目すべき今回は、180に及ぶ出展者による300ものイベントがロンドン中のあちこちで行われた。
イギリスの財務大臣ジョージ・オズボーン氏は、最近行われた予算演説の中で『イギリスで作られたもの、イギリスでデザインされたものが、国を活性化させる事につながる』と述べている。デザイン業界はイギリスにとって非常に重要な市場であり、LDFはイギリス経済の再生にも大きく関わっていると言える。イベント主催者のベン・エヴァンズは『今年のLDFはロンドンのデザイン業界の実績となる一連の優れたプロジェクトによって、ロンドンのデザインが持つその力と多様性を訴える事になるはず。』とコメントしている。
メイン会場となるのは、ロンドンで最も人気の美術館のひとつであるヴィクトリア・アンド・アルバート(V&A)ミュージアム。そこでは数々のワークショップやレクチャーと共に、12個ものインスタレーションが館内全体を通して楽しめる。
Timber Wave at V&A designed by AL_A and supported by AHEC and Arup © London Design Festival 2011
クロムウェル・ロードの正面玄関の前に設置された、最近行われたV&Aによる国際コンペの勝者である建築家、AL_Aによる12メートルもの「ティンバー・ウェーブ」はインパクトがある。オイル加工されたアカガシワというアメリカ製のオーク材で作られたこの素晴らしい螺旋状の作品は、緻密な曲線を描くために非常に薄くスライスされた板を積層状に接合させる特殊な技術によるものだ。
「ザ・パワー・オブ・メイキング」は100以上に及ぶ見事な工芸品や技術のクリエイティビティの幅広い可能性をアピールした展示だった。
おそらく何かを作るということは、人間のもつ最も優れた能力のひとつだろう。人々はずっと昔から、生活をより良くするためのアイディアを形にするため、試行錯誤を重ねながら様々な技術を磨き続けてきた。ものづくりの力というのは決して特定の人だけに与えられた特別な能力ではなく、多かれ少なかれ誰もが持っているものなのだ。
廃れかけていた伝統工芸が、その伝統的な技術はそのままに新しい変わった素材を使う事で再び注目を浴びるきっかけとなった作品は多い。展示されている作品は伝統的な技術を使ったものから最新技術を使ったものまで(例えば伝統的な石造りの壁やライオン型の棺から3Dプリンティングまで)新旧両方にスポットを当てている。
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