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祭太郎

PEOPLEText: Satsuki Miyanishi

ウサギを模した和柄のマスク、紺のショートタイツ、前掛け姿が彼のトレードマークだ。ただひたすらに「受け身」をとり続けるパフォーマンス、映画「男はつらいよ」に登場する寅さんを思わせるような口上パフォーマンスのスタイルを続ける芸術家、祭太郎。ライジング・サン・ロック・フェスティバルに10年連続登場、プロレスのリングアナウンサー、紫綬褒章受賞記念、結婚式、おまつりなどのお祝いの席でのパフォーマンスなど、ジャンルを越えてますます活動範囲を広げている。

今回、CAI02にて2008年以来5年ぶりに行われる彼の個展に際し、パフォーマンスに込められた意味、またパフォーマーと思われがちな彼の芸術家としての作品についてお話を伺った。

祭太郎

今回の展覧会について、また展示作品について教えて下さい。

5年ぶりの個展ですが、今まではインスタレーションを含めた展示でしたので、平面作品中心の展示はこれが初めてです。今回の展示は1999年から2013年までに制作した平面作品が主です。ほとんどの作品は時間をかけず、即興的な作品です。その多くは未完成のままが多いですが、それぞれに、明確な意思を持って取り組んでいる事が今回の展示している作品の特徴です。

2010年に新潟で行われた「春山登山展」では自分の背中をキャンバスにして、地元のアーティストに絵を描いてもらい、大きな紙の上で受け身をとり転写させる受け身絵という作品を展示しています。新作として、東洋思想を表す言葉を引用し、色と線を付け足したドローイングの作品を展示しています。ライジング・サン・ロック・フェスティバル in EZOで毎年販売しているエゾロックタオルやドローイングの展示をしています。カフェスペースにも平面、映像含め7点展示しています。こちらは一点を除き3.11以降に起きた出来事を作品にしました。「からたちの花」という映像作品に印象的な場面があります。2011年5月に震災ボランティアで訪れた避難所の壁に地元の小学生が描いたと思われる絵と標語の作品のカットを入れています。平面、映像作品などを含め約60点展示しています。

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祭さんといえば「受け身パフォーマンス」が印象的ですが、どういったものを表現しているのですか?パフォーマンスに込められた意味などがあれば教えて下さい。

受け身パフォーマンスとは大地との勝負に挑み、重力という絶対的なものから逃れられず完敗するという完全な負け試合を演じる事からはじまります。地面に叩きつけられ、身体の一部分が傷つきます。生体の自己防衛反応とも言える痛みを創出させます。即席的に創出した痛みは身体に危機的な状況を作りだし、生体の持つ恒常機能が働き潜在的な生命力を引き出されると考えます。そして、積極的でもなく消極的でもなく、あいまいな態度ではありますが、物事の本質を捉えようとする身体を自ら作り出します。あらゆる物事からの自由と解放をするための儀式に似たようなものかもしれません。

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身体を通じて様々な現実と向き合おうと自覚し行動に移すこと(能動的)と、現実に向き合い、物事がなんらかの作用で働くとき(受動的(受苦、受容))というのは、絶えず、同時に存在しているということ、矛盾として捉えられるような出来事を自らのからだで証明し自覚しているのではないかと思います。

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