ヨシ・ホリカワ

PEOPLEText: Hiromi Nomoto

ヨシ・ホリカワはサウンドデザイナーだ。日常の中や自然の中の音を音楽にしている。「サウンドデザイナー」とは聞き慣れない言葉だが、彼をミュージシャンと呼ぶには、あまりに言葉が足りない。ヨシの音楽を聞いた多くの人は、その曲に驚かされる。

ヨシ・ホリカワは、1979年大阪府生まれ。現在は千葉を拠点に活躍している。大学では建築を学んだ。作品をMy Spaceに載せてから5日間でフランスのレーベルから連絡があったという。現在は特に国外で多くの支持者を得ている。『できれば日本で活動したいのだが、日本のレーベルからは反応がない』と言う。2011年には、マドリードで開かれたレッドブル・ミュージック・アカデミーに参加した。2012年は、タイガー・トランスレートに招待され、ニュージーランドにて曲を制作した。ニュージーランドでは、地元の映像アーティストとコラボレーションし、音楽映像をつくりあげた。

ヨシ・ホリカワ
Photo: Tiger Translate

幼い頃から曲をつくっていたと聞きました。どんな子供だったのですか?

昔から「ものづくり」が好きで、感動したものは何でもつくりたいというたちでした。オモチャも家にほとんど無かったから、友達のオモチャを一晩借りて真似てつくって、喜びを感じていました。

なぜ音楽をつくり始めたのですか?

音楽は親父も母親も好きで、家でジャズばっかりかかっていて、僕はブラックミュージックが好きなんやみたいな。なんかああいうリズムが好きっていう意識が生まれました。小学5年くらいかな。

音楽も自分でつくりたいと思いました。でも楽器も何もありません。あるCDのジャケットに、ヘッドホンに向かって叫んでいる人の写真があって、そのCDを聞いたら、曲に籠った声が入っていました。『ひょっとしてコレ、マイクになるのかな?』と思い、ラジカセのカラオケミックスみたいなところに挿してみたら、見事に録れると分かりました。ああこれで曲がつくれる!って。それから周りのモノを叩き始めました。これが最初です。とにかく何でもつくりたいという、昔からの癖というか、生き方そのままです。

大学では建築を勉強したそうですね。そのまま建築の道に進むことは考えなかったのですか?

ピアノは習っていましたが、練習が好きじゃなかったので、音楽をメインの道にしようとは本当は思っていませんでした。建築だと考えていました。そこまで自分は力無いと思っていましたし。だから「ものづくり」という意味で、設計の方が自分に合っていて、音楽は趣味だと思っていました。

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カレカレビーチで波音の録音。 Photo: Tiger Translate

しかし、音楽を趣味だけにしておけなくったのですね。

サウンドスケープという、「おとづくり」と「ものづくり」の間みたいなことをやっている人がいます。建築の一部に音の仕掛けをつくったりします。その事務所に2年ほど行って、少しずつ音の方にシフトして来ました。建築音響の仕事もしました。今もまだ建築音響もやっていて、音楽だけで食えれば辞めちゃおうかなと思っています。

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