ストックホルム・ファッションウィーク 2011
HAPPENINGText: Victor Moreno
北ヨーロッパにおけるファッション・フェアと言えばコペンハーゲンとベルリンが有名だが、その一方で有志によって運営されてきたストックホルム・ファッション・ウィークが脚光を浴びている。今回の展示会では、デザイナーたちの成長も見られ、今後が楽しみだ。テーマには、「ロマンティック・ヒロイン」、「真夜中のインスピレーション」、「休日のUボート船長」、「ミニマム・ハイテク」など様々で、30以上のデザイナーが出揃った。会場となったのは市内の2本のメイン通り、ビル、アートギャラリーなどで、2011年の秋冬コレクションが発表された。
Filippa K
ダイアナ・オービング、ザ・ローカル・ファーム、ワイレッド 、ナックナなどのデザイナーによる新コレクションは好評だった。カリン・ロジャーやカリン・ウェスターらが成熟したコレクションを発表する一方で、ビッグブランドのフィリッパ・コー、タイガー・オブ・スウェーデン、ホープ、ジェイ・リンドバーグ、チープ・マンデーは、先端技術を取り入れ、クオリティを重視した革新的なコレクションを発表した。今回のフェアで、マックス・ファクター賞と呼ばれる最優秀デザイナー賞を受賞したのはアン=ソフィー・バックで、彼女のファッションに対する挑発的なアプローチが評価された。
ザ・ローカル・ファームは、洗練されたデニムスタイルを発信し続けているブランド。クリエイティブ・ディレクターであるリチャード・ハッチンソンとアクセル・ニハーグは、「休日のUボート船長」に構想を得て制作した。極薄のカーディガンとカシミアのセーターをインにし、厚いウール地のアウターを羽織るというスタイルだ。水で濡れたランウェイはさながら大海原の嵐で、悲劇的な演出の中で2011秋冬コレクションを発表した。ウィメンズコレクションは、ドレープとレイヤーを利用した無造作なスタイルを発表した。ベースはグレーで、差し色に青、濃紺、コバルトブルーを取り入れている。クラシックなデニムと、洗練されたデニムとの境界線はなくなりつつある。
Tiger of Sweden
タイガー・オブ・スウェーデン。メンズのデザイナーは、クリスチャン・リップッシュとロニー・マクドナルド。ミニマムなスタイルをベースに、よりクリーンでフォーマルなコレクションを意識した。テキスタイルはクラシカルなものと最先端のものをミックスし、革新への限界に挑戦している。
ジェイ・リンドバーグ。ファッション・ウィークの後の数日間に渡り、ブランド初のウィメンズコレクションを内輪で発表した。ここ数年の全面的なブランド改革を経て、新たな未来を目指している。ヘッドデザイナーのジェシー・フーヴェリンクは言う。『ブランドを再構築してから、全く違う世界になりました。以前はいつも流行を追い、ロックンロール調だったが、今はもっと普遍的になった。様々なシチュエーションで活躍し、長く使ってもらえる服を作りたいと思っていました。今が転換点となり、私たちのブランドはさらに前を目指して進むことになるでしょう。過去の経験が、我々の目指すところへと導いてくれるはずです。』
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