タイガー・トランスレート・オークランド 2012

HAPPENINGText: Hiromi Nomoto

タイガー・トランスレート」とは、シンガポールに拠点を置くタイガービールが主催しているストリートミュージックやアートの大きなコンペティションで、2005年から始まった。世界各地で行われ、その勝者がファイナルに出場する。

2012年はモンゴル、カンボジア、シンガポール、バンコクで開催され、2012年11月17日にニュージーランドの大都市オークランドで今年最後のコンペティションが開かれ、ファイナルのドバイへ向かう出場者が出そろった。私はオークランドのタイガー・トランスレートを現地取材した。

タイガー・トランスレート・オークランド 2012
会場風景 Photo: Tiger Translate

オークランドのタイガー・トランスレート会場となったスタジオ「ベニュー」はケー・ロードにある。ケー・ロードとは、カンラガハぺ(Karangahape)の頭文字「K」から来ている。世界を縮小したように、多くの背景を持つ人々が行き交っている。もともとこの土地にいたもの、ニュージーランドに来たばかりの人もいれば、祖父母の世代に渡って来たものもいる。彼らが信仰する宗教だって様々だ。全く違ったもの同士を巻き込んで、新しいものをつくり上げるタイガー・トランスレートに相応しい場所だ。

『この辺りには、劇場やクラブ、ストリップ、古着屋、 クリエイティブなものが集まっているのよ』と、アーティストの移動やアテンド、タイガー・トランスレート当日も会場の管理をしていたジャニスは言う。今回のタイガー・トランスレートを取り仕切っていたリース・ジャンセンは『ケー・ロードには危険で奇妙で、クレイジーなエネルギーがあるんだ』と言う。しかし、彼らですらここがどのようにして今の状態になったのか詳しくは分からない。

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入り口付近の様子 Photo: Tiger Translate

タイガー・トランスレート会場の入り口を入ると、虎がモチーフの大きく引き延ばされたグラフィックアートが貼られたコーナーがあった。これは、アーティストらが音楽からインスピレーションを得て描いたものだ。そこで来場者たちを撮影し、写真をFacebookにアップした。ステージがあるメインホールの他にもいくつかのスペースがあり、大きなスクリーンにタイガー・トランスレートのアーティストたちのグラフィックアートが映し出されていた。彼らの作品を展示している部屋もあった。


「タイガー・トランスレート・オークランド 2012」

そこで、上海で活躍するアーティストのニニ・サムの作品を見つけた。他にもキット・ローレンスアリーシャ・ブラントンなどオークランドで活躍するアーティストの作品もあった。

タイガービール・ニュージーランドのサイトには、彼らがインスピレーションを得た音楽や作品のコンセプトなどが紹介されている。コンペティションは開かれる都市に合わせて、ミュージックとアート、どちらに重点が置かれるかが変わる。オークランドではミュージックを全面に押し出した。もう少しグラフィックアートを強く出しても面白くなったのではと私は思った。

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