イッセイ ミヤケ京都 KURA展「墨流し」
HAPPENINGText: Amelia Ijiri
京都・右京区のふもとに佇む、日本の伝統的な墨流し(すみながし)の職人による、大胆で滑らかな石の模様を描いた「STONE」が、「生まれたままで」をテーマとしたイッセイ ミヤケの最新コレクションのものづくりに取り入れられている。現在、「墨流し」の技の美しさを紹介する展覧会が、京都のKURAギャラリーで開催中だ。
ISSEY MIYAKE KYOTO © ISSEY MIYAKE INC.
平安時代から日本では墨流しが使用されてきた。イッセイ ミヤケは職人が一枚一枚、滑らかな手作業で作り上げた墨流しの技法によって制作された芸術的な布を用い、シャツ、パンツ、ドレス、ジャンプスーツからなる最新の秋冬コレクションを発表した。柄は全て一点もので、柄の表情を活かした、体になじむ流線的なシルエットに仕上げている。
STONE © ISSEY MIYAKE INC.
モノクロームの作品に加えて、アイボリー、ベージュ、ベージュグレーの淡い色とのコンビネーションで、染料の墨は柔らかい印象になっている。染料を水面に垂らし、自然に広がる丸い形からなる模様をポリエステル生地に写し取り染色しており、イッセイ ミヤケは本コレクションで石を表現した。イッセイ ミヤケ京都では「STRATA PLEATS」シリーズのホワイトを限定販売している。
2018年に京都にオープンしたイッセイ ミヤケ京都。歴史ある町屋と石庭、そして母屋の奥に設けた現在の展示スペースであるKURAギャラリーは、デザイナー・深澤直人が伝統と革新が融合する「墨色」を基調とした落ち着きのある佇まいのある空間へと生まれ変わらせた。
KURA Gallery © ISSEY MIYAKE INC.
イッセイ ミヤケ京都は、伝統的な「ものづくり」のコンセプトを取り入れ、アートディレクター、建築家、職人が一堂に会し、伝統と革新を融合させたアート、建築、文化を創造することで、継続的な創造の価値を表現している。KURAギャラリーでは、今後も多様性に富んだ試みを発信していく予定だ。
ISSEY MIYAKE KYOTO KURA展「墨流し」
会期:2021年8月26日(木)〜9月19日(日)
時間:12:00〜19:00(火曜日休)
会場:ISSEY MIYAKE KYOTO KURAギャラリー
住所:京都府京都市中京区柳馬場通三条下ル槌屋町89
TEL:075-254-7540
https://www.isseymiyake.com
Text: Amelia Ijiri
Translation: Saya Regalado
Photos: Courtesy of ISSEY MIYAKE