フスク・ミット・ナヴン
PEOPLEText: Victor Moreno
おそらくこの名前を見て、一体どういう意味なのか不思議に思われるだろう。これはデンマーク語で「私の名前を忘れないで」という意味である。コペンハーゲンを拠点に活動するアーティスト、フスク・ミット・ナヴン(Husk Mit Navn)は、現代北欧のイラストレーションとストリートアートの質の高さを保証する存在だ。もともとグラフィティ界で高い評価を得ていた彼は、イラストレーション、スプレーアート、ウォールペインティング、絵画、ストリートポスター、彫刻と幅広く活動している。その作風はとても特徴的だ。大きな頭、ストレートヘアのキャラクター。あるいは彼の相棒「ミッキーダック」というキャラクターを見たことがある人もいるだろう。とにかく彼は沢山の作品を手がけており、ヨーロッパ内外の多くのギャラリーで展示されている。
あなたの活動は、グラフィックデザイン、グラフィティ、イラストレーション、ドローイング、絵画、彫刻と多岐に渡りますが、どの分野がいちばん得意ですか?
私にとっては、それら全部を少しずつやることが大事なのです。グラフィティだけとか、絵画だけでは飽きてしまいます。ドローイングをするときは、他の分野にも当てはめることのできる技法を見つけようとしています。それに、異なる分野の活動をするから、美術で生計を立てることができるのです。私は美術市場をはじめ、あらゆる市場に100%頼りきるということをしません。ある分野のビジネスが不況になれば、私はただ他のことをするだけです。今現在は、彫刻のパブリックアートを作りたいと思っています。
コペンハーゲンにおける、デザインや美術やイラストレーションの教育についてどのような意見をお持ちですか?
コペンハーゲンには2つの大きな学校があります。デンマーク・デザイン・スクールと、ロイヤル・アート・アカデミーです。これらの学校から多くを得た人々も、そうでない人々も私は知っています。みんな、その人自身が勉強にどれだけのエネルギーを注いだか次第なのです。ひとたび学校を卒業すれば、同じような現実に直面することになります。全て自分次第です。なにかクリエイティブなことで生計を立てたいと思うなら、沢山努力をしなければなりませんし、他の人よりも成功に対して貪欲でなくてはなりません。
あなたのこれまでのキャリアについて教えてください。
10年前にやっていたストリートポスターが多くの人の目に留まり、その後私はいろいろなアート作品を作り始めました。初の個展は自分で主催しましたが、すぐにギャラリー業界に飲み込まれました。締切りを守り、他人とうまくやるように努め、大抵はそれで沢山のオファーが来ます。誰だっていやな人とは一緒に働きたくないものです。
今はストリートアートをやっていますか?
いいえ、あまりやっていませんが、今でも時々はやります。1993年にグラフィティを始めて、2001年から2005年までは、手製のポスター運動を行いました。グラフィティは今でも描きますが、主に昔からの友人と集まるための口実としてです。時にはウォールペインティングを依頼されたり、屋外の公共のスペースでアート作品を作るように招待されたりもします。
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