CHILLICHILLY(チリチリ)
PEOPLEText: Kyoko Tachibana
香港が拠点のデザインブランド、CHILLICHILLY(チリチリ)は、アーサー・ヤンとクレメント・チャンが主催するブランドで、彼らのデザインには物語の要素が取り入れられている。建築を勉強したという二人が手がけるのは、ちょっとした仕掛けがあり、多大な人気を呼んでいる。
シルエット・ベイス
最近彼らは、SCV(静岡コンテンツバレーコンソーシアム)主催のマッチング・プロジェクトに参加し、「キッズ・コーナー」というテーマのもと、静岡の地元企業と手を組み、デザイン開発を手がけた。彼らにインタビューする機会を得、デザインについて思うこと、これまでに関わってきた様々な分野に渡るプロジェクトについて、話を伺った。
まず始めに自己紹介をお願いします。
チリチリ、2004年にスタートしたプロダクトデザインブランドです。クレメントと僕(アーサー)が立ち上げました。時計、テーブルウェア、ステーショナリー、日常の小物など、おなじみの家庭用デザインプロダクトのデザインを手がけています。
「CHILLICHILLY(チリチリ)」という名前の由来を教えてください。
「CHILLI」と「CHILLY」は同音異義語です。同じ発音でありながら違う意味を持ちます。この言葉のコンビネーションのおもしろいのは、この2つが全く反対の意味を持つということ。CHILLIは、熱い、辛い。CHILLYは、冷たいという意味です。例えば陰と陽など、対照的であることが、チリチリのあるべき姿として思い描いていたものです。それがアートと実生活のバランスを見つけるプロダクトデザインです。
仕事でのそれぞれの役割や得意分野は何ですか?
僕(アーサー)が主にプロダクトのデザイン、ブランドのアートディレクションを担当しています。クレメントは会計の人で、クライアントや会社財務とのやり取りを担当しています。僕たちの仲間のベンジャミン・ウォンは、デザインを実現化したりする制作を担当しています。
代表的な作品やプロジェクトを紹介してください。
デコード・クロック(2004)2004年グッド・デザイン・アワード、HKDAアワード金賞受賞作品
長針がコードかされている言葉の上を通るとき、時間を表す言葉が現れる仕組みになっています。例えば12の上にくると「twelve」と現れます。。
バイ・ザ・レイク、カップ&ソーサー(2004)
これが実は僕たちの初めのデザインです。フランクフルトへの旅行の際にインスピレーションを得ました。クレメントと運河の側でコーヒーを飲んでいて、運河に映る建物を見たのですが、その時にこのシーンをデザインにしたらロマンチックだと考えました。もちろんデザインには、湖のほとりに動物と木を加えてさらにロマンチックにしました。つまり、反射するソーサーは湖で、カップがソーサーの上にのると、反射した木々の絵がソーサーに現れます。
シーング・ダブルズ・クロック(2006)HKDAアワード銀賞受賞作品
僕たちのアナログ時計にデジタル表示を加えたかったのです。そこでアートの授業で学んだカラーセオリーを利用して、それを実行しました。長針と短針が同じ点にきたときにも時計上の数字は変わります。例えば、時計の3の場所、ふだん数字は判別できないですが、長針がそこにいくと、15と読めます。(デジタル時計の読み方で15分です)。短針がどこにいけば、3となります。
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