アート・ドバイ 2009
HAPPENINGText: Mamiko Kawakami
Youssef Nabil, Self-Portrait with Laila Elwy, Cairo 2002
地元アーティスト作品を集めたドバイのギャラリー、ザ・サード・ラインズのブースにも、もちろん多くの来場者が訪れていた。中でも、ヨセフ・ナビルの「ラリア・エルウィーとの自画像」と題されたこの作品はなかなかおもしろい。
Arwa Abouon, Weapons of Mass Discussion, 2008
そしてこのギャラリーから、もう一つ。ウエポン・オブ・マス・ディスカッション、作品の題を日本語に訳せばズバリ「大量“議論”兵器」。(ウエポン・オブ・マス・ディストラクションは「大量破壊兵器」の意味) そして作品にされたのは、おしゃべり好きそうなアラブ人女性が何とも微妙な表情でその準備を整えている様子から、アーティストのユーモアににやけてしまう。
Sissi Farassat, Mosque, 2006
続いてスイスチューリッヒのギャラリー・カシュヤ・ヒルデブランドからは、こちらのキュートな作品、その名も「モスク」。
さて中東と言えば、ドバイがあるアラブ首長国連邦をはじめほとんどがイスラム教の国。アートとはいえ、裸体画・像やイスラム教を冒涜するような内容やふさわしくないイメージにつなげる様なものは厳しく制限される。
この中東最大のアートイベントも例外ではない。あるアーティストの作品にはコーラン(イスラム教の聖典)とも見られる本の一ページに兵器と馬がイメージされていた為、展示会場のギャラリー責任者が同アートをイベント開催中に展示から外す決定をした一騒動もあった。
似たような議論を呼んだ作品はレバノン系オーストラリア人アーティスト、ジョージ・フィリップによる「インッシャーラー(アラビア語で「アッラーの思し召しならば」と言う意味)・サーフボード」 。作品のサーフボードには「インッシャーラー」(Inshallah)の文字が…。本来サーフボードは人々の足で踏みつけられるもの、そのような物にこのような神聖な言葉を書くとは・・と、イスラム教徒達は眉をしかめ議論が沸き起こった。それに対し製作者フィリップは『作品のサーフボードはアートとして作られ、地べたに置かれることも踏みつけられることも無い。』とその場を収め、騒動をよそに彼の作品は多くの来場者の注目を集めていた。
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