トランスメディアーレ 2008
HAPPENINGText: Yoshito Maeoka
“Standard Time” by Mark Formanek
奥に進むと、壁一面に投影された映像の前にちょっとした人だかりができていた。壁にはベルリンのとある空き地に陣取った土方達が、木材を組み合わせた巨大なデジタル時計風の数字を、分刻みで表示を変えていた。「スタンダード・タイム」というマイク・フォーマネクのパフォーマンスのドキュメンテーションで、この人力かつローテクなメディア・アートのユーモラスな側面が、多くの鑑賞者を微笑ましい視線を投げかけさせていたのはとても印象的だった。
Gordan Savicic
またとある壁には、マーキングされたベルリンの白地図と人間の身体ぐらいの太さのスポンジに巻かれた拘束器具のようなオブジェが陳列されていた。オブジェの背面にはニンテンドーDSが接続されており、暗号化されたWifiの電波の強度に合わせてこの器具がしまる仕組みになっているという。ゴルダン・サヴィチックは、私たちが普段目にしない電波の量を苦痛として受容するこの器具を身にまとい、ベルリンの街を歩行した。その結果、彼の苦痛が白地図にマーキングされていった。この作品は今年のアワードの3位を獲得した。
“Amazon Noir”, a project by Ubermorgen.com, Paolo Cirio and Alessandro Ludovico
展示ホールに入ると一番真っ先に目に入った「Amazon Noir」という、パウロ・シリオ、アレッサンドロ・ルドヴィゴによるプロジェクトのプレゼンテーションだった。このプロジェクトでは、ある一冊の本にヒットする様々な検索クエリーを生成し、結果として得られたデータをつぎはぎすることにより、本を一冊生成する、システムを公開していた。そのような手順が公開されていた。この作品は今年のアワードの2位を獲得した。
続きを読む ...