「イグアポップ」展
HAPPENINGText: Gudrun Rau
「イグアポップ展」は今年最も楽しめたヘリウムカウボーイ・アートスペースでの展覧会。それはきっと9人の素晴らしいアーティストの作品をみることができたからか、スペインのギャラリー・イグアポップが寒くて古めかしいハンブルグの街に地中海の風を吹き込んだからかもしれない。
いや、おそらくイグアポップのギャラリスト、イニゴー・マルティネス・メラーと彼が連れてきた3人のアーティスト(ブラミ、マイク・スワニー、ビクター・カスティージョ)がとても気さくで親しみやすく、展覧会の準備がとても楽しかったからだろう。彼らが隣室に用意したスペイン風オムレツ、とっても美味しいガスパチョ、大盛りのサラダ、溢れんばかりのパン・コン・トメテ、8キロはありそうなハモン(ハム)をごちそうになった。ハモンはオープニングで差し出される予定にもなっていて、全てを食べきったわけではない。まずは、展示の準備に取りかからなくてはならない。
天井の高い1階には6人のアーティストが展示をした。入り口に向かい合った、目につく場所にティム・ビスカップの作品を展示できるように壁のサイズを大きくすることになった。右側の壁には人気のフランス人アーティスト、ミス・ヴァンの2つの大きな絵が掲げられ、セルジオ・モーラとアドルフ・ジルのアートワークが額装され展示された。
Victor Castillo
階段がある為にいつも困難を極める左側の壁は、カタリーナ・エストラーダとライ・エスカーレの作品、雑誌をインクや溶剤で書き足した美しいその作品を間近で眺めることができるように配置した。2階のスペースは一緒にいた3人のアーティストにそれぞれ3カ所の壁が託された。ビクター・カスティージョはソーセージやチェーン、稲妻、回虫などを強く印象に残る絵を描いた。それは強いディズニー的な啓示を含んだ雰囲気を発するものであり、また、印象的に浮かぶ背景のペインティングから、彼のゴヤへの賞賛を感じ取ることができる。
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