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「シュリンキング・チャイルドフッズ(縮こまる子供時代)」展

HAPPENINGText: Sari Uchida

2004年11月、テート・モダンの敷地内に、ひっそりと現れたのが、「シュリンキング・チャイルドフッズ」展。開催当初は案内板が地味で見つけにくかったが、マスコミで話題を呼ぶに従い、数回を経て人目を引くものに置き換えられた。

幼い時分に性的虐待を受けた子供や、薬物中毒の両親に子育てを放棄されて成長した子供は、結果として、精神的に深い傷跡が残り、問題行動に走ることが多い。チャリティ団体「キッズ・カンパニー」ではこうして傷つきやすく、孤独な子供たちにカウンセリングやアドバイスによる心のケアのほか、教育や金銭面など実際的な援助を行っている。本展は、彼らとテート・モダンによる共同プロジェクトである。

紫色の壁の建造物は、子供たちの家庭を再現している。それぞれの空間のなかで、子供たち1,000人以上が作ったインスタレーションをテーマごとに展示している。

少女RCは、幼い頃、想像を絶する虐待を受けた。周囲の人間に自分の苦悩を話すことができず、繰り返し蘇る恐怖を鎮めるため、薬物やアルコールに手を出した。堪え切れなくなると自分を切りつけ、血を流して癒しを求めた。

教室のように机と椅子が並んだインスタレーションの一つ。机のフタを上げた中には、ベッドに子どもが胎児のように丸くなり、隣の部屋では床にコンドームが散らばる。その上の絵には、「MY MOTHER IS A (W)HORE(お母さんは売春婦)」と文字が並ぶ。

暗く、湿った臭いがするこの部屋は、床にゴミが散らばり、窓に黒ビニールが張ってある。薬物中毒で崩壊した家庭の生活環境について嫌でも考えさせられる、衝撃的な展示。写真では父親像がマットに突っ伏しているが、部屋の隅には誰にも相手にされない子供が一人。こんな生活をする子供の心の風景は、どんなものだろうか。壁には、ある少年の文章『この展示は僕が育ってきた家そのものだ。お金がないから食べ物もなく、お風呂も皆同じ水を使っていた。こんな生活は誰にでも起こりうるもの。ドラッグは生活を崩壊する。』と張ってあった。

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