「ワンダーランド」

THINGSText: Naoko Fukushi

昨年ロマンティックをテーマにしたコンピレーション本「ロマンティック」を出版したドイツのブックレーベル・ディ・ゲシュタルテンが、今度は夢幻的、空想的、非現実的といったキーワードをもとに世界中のアーティストから寄せられた作品をまとめたコンピレーション本「ワンダーランド」をリリースした。

前回の「ロマンティック」は、回顧趣味的で古典的な表現に対する憧れを投影していたような印象を受けるが、今回の「ワンダーランド」は、実際に世の中に存在している刹那的な現象を、確かな強度を持って作品として定着させたような安定感がある。


しかし、どの作品も決して留まることを知らず、絶えず流動しているような浮遊感も帯びている。瞬間に入って切り取った現象の持つ強さは、それが持続することを前提としていないという矛盾の表れなのかも知れない。余談だが、女性をモチーフにした作品が多く、どうやら女性という存在が “強さ” と “不安定さ” の象徴として世界の共通認識なのだなと確認してしまった。

Wonderland
編者:R. Klanten, B. Meyer, S. Ehmann
仕様:144ページ、24 x 30 cm、オールカラー、ソフトカバー
発売:2004年11月
定価:$35.00 / €28.00 / £23.00
ISBN:3-89955-067-6
TEL:03-3749-3675(dgv Japan [プレス])
出版:Die Gestalten Verlag
https://www.gestalten.jp

Text: Naoko Fukushi

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