ローラ・オーウェンス
PEOPLEText: Matt Smith
ローラ・オーウェンスという、32歳のアーティストがいる。彼女の絵画の展覧会が、シカゴ北部のミルウォーキー美術館で、ロサンゼルス近代美術館の主催のもと開かれている。
Laura Owens, Untitled, 2000, Acrylic and oil on canvas, 110 x 132 in. Collection of The Museum of Contemporary Art, Los Angeles
オーウェンスの、明るい色使いで描かれた大きな絵は、絵画とグラフィックデザインの中間と言ったほうが適切な気がする。彼女の作品に対する批評でよく語られるテーマは、ちょっと目の肥えた人の注意を引き、一般的で商業的なニーズに合うような、若さ、遊び、光というような言葉が代表的だ。このような表現は、デザイナーが作品の意味をそのデザインと同時に表現しているときなどに、グラフィックデザインに対してよく使われるものだ。
Laura Owens, Untitled, 2001, Acrylic and oil on canvas, 106 x 67.5 in. Collection of Marty Eisenberg, New York
ミルウォーキ美術館で展示されているオーウェンスの作品の多くには、彼女の熟練さがはっきりと表れている。油絵の具の抽象的な形状が、端が鋭く、平らで不透明なアクリル絵の具で覆うように描かれている。彼女の作品には、抽象的なものがいくつかあり、渦巻くビジュアルの世界で、厚く塗られた絵の具に相当な想像力を働かさない限り、何が描かれているのか分からないものもある。もっとも分かりやすいものでは、鳥の形を表現したV字形の木の絵で、その陰はエアブラシで描かれている。他には、風景画や、猿や蝶、鳥、植物などを題材にした絵などもある。
Laura Owens, Untitled, 2000, Acrylic and oil on canvas, 72 x 66.5 in. Collection of Claudio Guenzani, Milan
ドローイングやペインティングなどの国際的な展覧会のテーマは、近年あまりに考えられすぎてしまっている感がある。ニューヨークの近代美術館で開かれた「ドローイング・ナウ」やスイスの3つの美術館で同時開催された「ペインティング・オン・ザ・ムーブ」という、昨年の2つの展覧会では、ドローイングやペインティングの今を代表するアーティストとして、オーウェンスが参加した。
これら二つの展覧会は、グラフィックデザインに対して、2つの重要な疑問を投げかけた。デザイナーのセルフプロモーションの増加に見合うほどに、グラフィックデザインは充分に発展したのだろうか?あるいは、単なる自己満足にすぎないグラフィックなのか?
Laura Owens
会期:2003年10月17日(金)〜2004年1月18日(日)
会場:Milwaukee Art Museum
住所:700 N. Art Museum Drive, Milwaukee, WI 53072
TEL:+1 414 224 3200
https://www.mam.org
Text: Matt Smith
Translation: Naoko Fukushi
Photos: Courtesy of the Museum of Contemporary Art, Los Angeles © Laura Owens