ウィレム・デ・クーニング回顧展
HAPPENINGText: Christina Merl
今月は何を書こうかと考えながら、私はウィーンで最も豪華な通りであろうコールマルクトに向かって歩いていた。美しい建築物やアートギャラリーに息をのみながら、ふと、クンストフォーラムに立ち寄ることを思いつく。そこでは、オランダ生まれのアメリカ人アーティスト、ウィレム・デ・クーニングのウィーン初の大きな個展が開かれているのだった。
Willem de Kooning, Der Glaser, 1940, oil on canvas, The Metropolitan Museum of Art, New York, Collection Thomas B. Hess, 1984; © The Willem de Kooning Foundation, ARS, New York, VBK, Wien, 2005
『クーニング(健在であれば去年春に100歳を迎えている)は、ジョン・シングルトン・コプリー、フレデリック・エドウィン・チャーチ、スチュアート・デイヴィス、ジャクソン・ポロック、 その他多数に加えて、アメリカンアートにおける揺るぎない中心人物の一人である』と、英ガーディアン誌には記されている。
Willem de Kooning: Ohne Titel IX, 1982, Oil on canvas, Private collection © The Willem de Kooning Foundation, ARS, New York, VBK, Wien, 2005
クンストフォーラムで私は、このような回顧展を催すにあたって、“作品を集める” 事において存在する非常な困難を知った。事実、クーニングの作品の値段は、彼の死の前後に並外れた上昇をしており、彼の初期の作品(最も素晴らしいと言われている)の持ち主は、貸し出しに際して非常に厳しくなっているのである。作品を動かして差し支えないというのは少数であり、保険もそれなりにかかり、そして損害の危険を冒したがる者は、もちろん誰もいない。
Willem de Kooning, Frau auf einem Schild I, 1967, Oil on canvas, Private collection, Gagosian Gallery, New York © The Willem de Kooning Foundation, ARS, New York, VBK, Wien, 2005
しかし、私の得意分野ではないこういった井戸端話よりも、『エロスの創造的な力は、だんだんと凝結したり形状を留めながらも、軽くて無限の物質である無形のマグマの流れとなった。』と、1984年ニューヨークでのクーニング回顧展カタログに記した、ジャン・アミラのことに触れるべきであろう。
さて、私はそろそろ去った方がいいだろう、あなたが感情のまま美しいアートにふけり、夢中になることができるように…
Willem de Kooning Exhibition
会期:2005年1月13日(木)〜3月28日(月)
開館:10:00〜19:00(金曜日は21:00まで)
会場:Kunstforum Wien
住所:8 Freyung, 1010 Wien
TEL:+43 1 5373326
https://www.kunstforumwien.at
Text: Christina Merl
Translation: Yurie Hatano
Photos: Courtesy of the artist, © The Willem de Kooning Foundation