DAF東京 2003
HAPPENINGText: Jo Kazuhiro
続いて、隣の会場で開催されていた「デジスタ展」。これは、NHKで放送中のデジタル・アートの公募・審査・批評番組「デジタル・スタジアム」の受賞作と、グランプリ受賞作家の作品を展示するもの。
鈴木康広「まばたきの葉」
会場に入るとまず、2000年度のデジスタアワード受賞作家であるAC部が、お祭りっぽく飾りつけたブースの中で映像作品の上映を行っていた。その隣には鈴木康広の、空中に巻き上げられた紙がまばたきをする「まばたきの葉」と、回転するジャングルジムに映像を投影した「遊具の透視法」が展示してあった。すっきりとしてきれいな印象を受ける彼の作品。今後どのような作品が生み出されるのか楽しみだ。
中居伊織「ストリートスケープ」
さらにその奥には、中居伊織の「ストリートスケープ」が展示してあった。地図の溝をなぞることで、街の音を聞くことのできるこの作品、今回は、パリ、京都、浜松、有明、山口、仙台の計6都市の音を体験することができた。今年のアルス・エレクトロニカの受賞作でもあるこの作品。リンツではどのような音を聴くことができるのだろう。この他、ホワイエでは、デジスタベストセレクションとして受賞作の数々を自由に見ることができるようになっていた。
今回のDAF東京では、先ほども述べた明和電機、メディア・アーティストの岩井俊雄、映像作家の吉浦康裕、アニメーション作家のヴォイテク・ヴァフシチェックが参加し、それぞれパフォーマンスや映像上映を行っていた。強く影響を受けているであろうアルス・エレクトロニカと比べると、批評や交流といった点で、まだ物足りない感じもするけれど、会場を訪れた人にとっては、テクノロジーとその表現とに直に触れ、体験する良い機会となったのではないだろうか。
来年以降も引き続き行われる予定のDAF東京。より多種多様な視点、立場を結びつけ、ヨーロッパやアメリカとは異なる、日本ならではの要素を生かした独自の展開を期待したい。
DIGITAL ART FESTIVAL TOKYO 2003
会期:2003年8月8日(金)〜17日(日)
会場:パナソニックセンター
住所:東京都江東区有明2-5-18
TEL:03-3481-7980
info@daf-tokyo.jp
https://www.daf-tokyo.jp
Text: Jo Kazuhiro
Photos: Jo Kazuhiro