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フジロックフェスティバル 2003

HAPPENINGText: Yasuharu Motomiya

去る7月25日、今回で7回目となる夏の日本を代表する野外音楽イベント、フジ・ロックフェスティバルが始まった。1回目から、3回目まで毎年場所を変更してきたが3回目以降苗場スキー場に場所も落ち着き今回に至る。前夜祭も含めると4日間もあり出演アーティストも100組以上という超巨大イベントだ。内容もロックありテクノあり民族音楽ありとあらゆるジャンルを網羅した濃いものとなっている。今年は、3日間で延10万人もの人がこのイベントに足を運んだ。

25日初日はあいにくの雨。苗場に向かう車中、1回目の嵐のフジロックを思い出す。実際に行ったわけではないが、いまだにその話を様々な人から伝え聞いていて、今年も波乱含みのフェスティバルになるのかなとボンヤリと考える。しかし、この日の大トリ、アンダーワールドのことを思うとそんな不安はどこかへ行ってしまった。十代のころからのアイドルだったからだ。1999年のホワイトステージでのパフォーマンスの記憶がいまだに鮮明に思い出せるほど素晴らしく、だからこそ、雨なんか気にしないほど期待していたからだ。ダレン・エマーソンが抜けた後、初めて見るライブということもあった。だがこんなときに不幸は起こるもので、高速道路で車は、エンジンブローを起こし無情にもストップ、その後その車は息を吹き返すことはなかった。ボクの思いは無残にも関越自動車道で砕け散ってしまったのだ。忘れかけていた不安は、初日であっさりとピークに達した。それでも先を急ぎ、その場に友人を残し一人電車で行くことにした。

結局苗場についたのは、アンダーワールドのセットには間に合うはずもない午前1時。弱くずっと降り続く雨の中バス降り場から足早にゲートに向かっていく道すがら、すれ違う人の目には冷めない興奮の帯が色濃く浮き上がっていた。彼らに対する嫉妬とこれから出会うであろう興奮への期待で複雑な思いだった。


Underworld © Yuki Kuroyanagi

荷物を先発の友人のところへ預け、気を取り直し、朝まで行われている会場「レッドマーキー」へ。そこでは、プレフューズ73のターンテーブリスト二人とドラマーという興味深い3人組によるヒップ・ホップと一言では括れないブレイクビーツ・エレクトロニカが鳴っていた。彼らの音に身を任せるうちに明日もこの場所で音楽は鳴り続けるんだ、という安堵感が満ち溢れ、心は落ちつき、不安だった気持ちはいつの間にか消えていた。やっと音楽に出会えたのだ。

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