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フジロックフェスティバル 2003

HAPPENINGText: Yasuharu Motomiya

二日目、昨日から雨はゆっくりと降り続きやむ気配なし。今日はボケーっと前日見ていない会場でも周ろうと地図を片手にトレッキング。地面は何万人もの人々に踏み荒らされグチャグチャ、最初は靴の汚れを気にしていたがしてもしょうがないことに気付きのんびり歩くことに。

最初はオレンジコートに、朝までやっていたトランスのオールナイトフジと名付けられたイベントが行われていた場所だ。聴けずじまいだったサイコポッドに思いを馳せゆっくり見物、その時そこで誰が演奏していたのかは定かではないが、こういった楽しみ方も野外フェスティバルならではの楽しみ方だろう。

フィールドオブヘブンからホワイトステージに行く途中のアバロンフィールドを通り過ぎると聴き覚えのあるタブラとエレクトロニクスサウンドが…。ASA-CHANG&巡礼が演奏していて曲は「花」だった、多分レイ・ハラカミ・リミックスバージョンだったような。こういうところに、こちらは散歩気分でも突然いい音楽と出会ってしまう懐の深さをこのフェスティバルから感じた。夕方最後の場所はグリーンステージ、音楽散歩の贅沢な締めはコールドプレイ。久々に聴いたボクにとってのブリティッシュ・ロックの王道といえる様な演奏で、電子音楽ばかり聴いているぼくの耳には素直に歌っていいなと思えるよいチューニングになった。


Coldplay © Hideo Kojima

夜の前に少し腹ごしらえと屋台エリアへ。このフェスティバルは音楽もそうだけど、食べ物がとても充実していて、世界各国の味が堪能できる。数限りなくある屋台の中からジャーマン・デリを選びカレー味のソーセージとサンドウィッチをほおばる。ほかにも色々試したが、どれも味は合格点で山奥に来たとは思えないほどの充実ぶりだった。そして夜、いよいよビヨークだ。


Bjork © Takayuki Mishima

彼女が登場した途端会場の雰囲気は変わった。それまで、機材のセットアップの時間を雨に濡れながら今か今かと待ちわびていたオーディエンスの熱は一気に上がり、寒さと一日の疲れもどこかへ行ってしまう。演奏している間は特別な時間が流れ電子音とオーケストラとビヨークの歌声が苗場スキー場を覆っていた。時たま発せられる彼女からの「どうもありがと」というたどたどしい日本語が一時現実に引き戻すが、それさえもその後続くパフォーマンスへの一つの扉だったのではないかと今は思える。それほど強い世界観が彼女から発せられていたのだ。

その余韻はライブ終了後も続き、朝方のDJタサカのプレイまで覚めることはなかった。彼の独特なスクラッチ入りの四つ打ちが僕の頭を覚ましてくれたようだ。

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