デザインマイ 2003

HAPPENINGText: Paul Snowden

デザインマイは、2週間に渡ってベルリンで開催されたデザインの祭典。100名以上の参加者が、商品、プロジェクト、アイディアなどについて論議を繰り広げるイベントだ。今年は初めての開催ながらも、ベルリンの街は大いに盛り上がった。

そんな中、僕はどうしていたかというと、自身の活動にてんやわんやの状態。残念ながら、デザインマイをきちんと見ることはできなかったのだが、何でもデザインマイの方でも結構なドタバダ劇があったとか、なかったとか。それでもとにかく、よいイベントだったことは確かだ。


Greige, No War Font exhibition

今回のデザインマイは、とてもベルリン色が濃かったことは特筆すべき点。かなり厳しい予算内でありながらも即興的。それこそ、ベルリンのチャームポイントだろう。また、ベルリンにできること、できないことを明確にできた良いチャンスでもあった。僕が感じたのは、多くの若いデザイン・スタジオがこのイベントに参加しなかったのは、デザインマイ自体に何の達成も見られなかったこと。そしてビジネスが、デザインマイやこの種のイベントと連係していなかったことだ。人生その気になればどうにでもなる。僕はそう思う。デザインマイは残念ながら、どこかエリート感覚が感じられたイベントだったし、僕自身、エリートはあまり好きではない。これからもいろいろな批評や提案が出てくるだろうが、僕個人としては、次回のデザインマイに期待を寄せたい気分だ。どのような結果がでるのか楽しみだ。


Greige, No War Font exhibition

もしデザインメイで取り扱われる題材の幅が広かったら、イベントを通じていろいろな繋がりも生まれるだろう。そしてもし、デザインが人々を巻き込んだ新しい動きを発生することができたら、イベント自体のレベルはかなりアップすると思う。グレイジュというデザイン・スタジオがベルリンにあるのだが(グレイジュとは、グレイとベージュをミックスした造語)、このグレイジュには今回、「NO WAR FONTS」を使って作品を出品するようにとの要請があったそうだ。その作品は今回のイベントのポスターとして使用されたのだが、これを含めたその他の作品も、現在はサイト上で見ることができる。


Greige, No War Font

最後に僕の事務所、リデザイン・ドイチュラントの情報を少し。僕達はちょうど、ユニバーサル・ミュージック・ドイツのサイトを完成させたところ。かなり革新的な方法をとったので、新しいサイトのデザインにはテキストがそれ程多くないのが特徴だ。使われているイメージは、ジャケット写真とグラフィックが2点のみ。「音楽についてのみ紹介してほしい」というのがユニバーサル・ミュージックからの要望だったので、フラッシュっぽさ、色の使い過ぎ、混乱を招くような効果を最小限に押さえた。その代わり、重厚感があり、シンプルで機能的なサイトに仕上がっている。何でもかんでも取り入れるのではなく、シンプルさを極めたセンスは、僕もかなり気に入っている。

Designmay 2003
会期:2003年5月3日(土)〜18日(日)
会場:Transform-Berlin e.V. i.G.
住所:24 Gormannstrasse, 10119 Berlin
TEL:+49 (0)30 2759 4285
https://www.designmai.de

Text: Paul Snowden
Translation: Sachiko Kurashina
Photos: Courtesy of Greige

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