アレッサンドロ・メンディーニ

PEOPLEText: Stefano Casciani

また別の建築ビエンナーレでは、初めてにして最も “スキャンダラス” な作品を紹介されましたね。作品名もかなり挑発的な「バナール・オブジェクト」。あのような前例と、現在発表している作品には、何か共通点みたいなものはありますか?

バナール・オブジェクト」の制作のために行った調査は、その時の私達にとってはかなり特別な存在でした。その調査を通じて、家庭用のデザインの限界、そして範囲を知ることができたからです。「ピアッザ」では、様々な問題にも対処できる解決策も多く発見できましたし、切り口を更に大きくする方法も得ました。そして今回のシティ・タワーでも、建物の大部分を占める面から小さいオブジェまで、スケールの違いという問題に取り組んでいます。

この種の簡易化に直面することは、何かしら大胆な行動のような気もします…。「バナール」にあるアイディアは、デザイン全体にとっては達観した序文的なものではないか、とも思うのです。達観性を考慮する場合は、過熱したものにはならないオブジェに刺激された感情を受け止めなければいけません。それによって、「小さい」スケールの中に「大きい」デザインが埋め込まれた方法というおもしろい逆接が発生しますし、これこそが可能性という世界への冒険を通じて、私達が探究したかったことなのです。


Landscape Banale, Alessandro Mendini, 1979. Image from Permanent collection of Francesco Moschini and Gabriel Vaduva A.A.M (Art Architecture Modern)

その冒険はすぐには終わるものではないでよね…。シティ・タワーはいつ完成するのでしょうか?また、このアイディアもいつプロダクトとして見ることができるのでしょうか?

現在の状況として、基本的なアイディアとまだ未開発の段階にあるオブジェの模型とイメージが、ヴェネツィア建築ビエンナーレでは展示されています。今後どのような展開をみせるのかは予想がつきませんし、いろいろな面で変更も生じると思います。この未定の部分は、建築デザイナーのみなさんも了解済みなことです。もちろん、場合によってはアイディアの変更もあり得ることですが、できる限りデザイナーの意向に沿うよう努力しています。最終的な結果、オブジェ、コミュニケーションについてのプレゼンテーションの締め切りは、2004年です。


Shigeru Ban

未来に目を向けながらも、前世紀の考えやデザインから生み出された方法に私達は今だに頼っている、という事実に影響を受けていますか?

もしかしたらこれも、若手であり、現在に強く関心をよせている建築家たちの言葉を通じて、私達がオブジェがある想像上の風景をもう一度作り直している理由かもしれません。このプロジェクトは未来にはならないと思います。「現在」がちょっとだけ後押ししているものが、このプロジェクトなのです。そしてそこには、広大な興味という地平線が広がっているのです。

Text: Stefano Casciani
Translation: Sachiko Kurashina
Photos: Carlo Lavatori

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
カラードットインク
MoMA STORE