ア・ルーム・フォー・ロンドン(ロンドンの一部屋)

PLACEText: Atsuka Fukaya

ロンドン市内地下鉄ウォ-タールー駅に程近い、アート・コンプレックス「サウスバンク・センター」の一角、クィーン・エリザベス・ホールの屋根の上に一隻の船が乗っかっている。この目を疑う様な光景が意外と街並みに溶け込んでしまうところこそ、やはり此処はロンドンなのである。

ルーム・フォー・ロンドン
© Charles Hosea

これは「A Room for London(ロンドンの一部屋)」と名付けられた建築インスタレーション。今年2012年のロンドンオリンピックに連動させた、ロンドン・フェスティバル 2012のアートプロジェクトの一環で、一部屋(一隻)だけの船型ホテルなのだ。ビルから突き出した部分が八角形のライブラリー(ベッドルーム)となっており、ベッドからテムズ川を一望できる。さらに上(二階)には展望スペースもあり、かなりの高さから生のロンドンの街並みを眺めることができ、夜景は更に必見に違いない。

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© Charles Hosea

建築家のデイビット・コーン、アーティストのフィオナ・バナーによってデザインされたこの船型ホテルは、イギリスの著名小説家ジョセフ・コンラッドの「Heart of Darkness(闇の奥)」という小説の元となったリバーボート(川船)、テムズ川を出発してアフリカのコンゴに渡る船がモデルとなっている。イギリスを代表するアート団体、アートエンジェルやリビング・アーキテクチャーがサウスバンク・センターとコラボレーションし、ロンドンの象徴とも言えるテムズ川やビッグベン、セントポール大聖堂を一人占めできる一隻の船型ホテルを完成させた。

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© Charles Hosea

もちろん一般客の宿泊可能。一泊限り二人まで、宿泊料は120ポンドより。2011年9月に始まった宿泊予約は2012年1月から12月の全ての日において満室となってしまったため、現在はこのプロジェクトの延長を検討中。2012年以降の宿泊を受け付る可能性が高い。先述のリビング・アーキテクチャー(人気作家・哲学者アラン・ドゥ・ボトンが主宰するアート団体)のニュースレターへこちらからサインアップすると、その他のアート情報はもちろん、「ロンドンの一部屋」に空室ができた際も教えてくれる。

一般客宿泊以外の日はこの「ロンドンの一部屋」は、世界各国からの著名ミュージシャン、画家、作家、クリエーター達のスタジオと化す。この様な贅沢な環境で製作された作品にはどんな素敵な命が宿るのだろうか。ロンドンの一部屋にてロンドンの夜景に溶ける様に眠る一夜を体験してみたいと願わずにはいられない。

A Room for London
住所:SouthBank Centre, Belvedere Road, London, SE1 8XX
TEL : +44 (0)20 7960 4200
customer@southbankcentre.co.uk
https://www.aroomforlondon.co.uk

Text: Atsuka Fukaya

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