「コントロール・スペース」展
建築家エリザベス・ディラーとリカルド・スコフィディオは、様々なメディアで建築という環境を用いて、伝統的な建築の枠を広げてきた。有名な最新作品は 「スイス・エクスポ 2002」のメディアパビリオン「ブラー・ビルディング」。
「リフレッシュ」と名付けられた初めてのウェブプロジェクトでは、日常生活においてビデオテクノロジーが果たす役割を知る手段として、二人は事務所のウェブカメラを用いるところから始めた。アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアに存在する12のサイトは、ディラーとスコフィディオが選び、フィクションの説明文とイメージをでっち上げた。各サイトには、12のイメージがならび、一つをクリックすると画像が更新される仕組みになっている。このプロジェクトのために作られた他の11の画像は、俳優を雇い、フォトショップで手を加えられたものだ。一見分かりづらいが、これらの画像は本来の意味を失っている。「のぞき」という果てしない欲望に対する技術的なトリックや「監視」というものの可能性を皮肉に弄ぶ事で、狡猾に生活をでっち上げている。
若いドイツ人アーティスト、コープスとルフラーは、本物の警察写真を用いて特殊なリサーチを行った。ドイツRAF の隠れ家の家具に施されていた、テロリズム的なカモフラージュ技術のリサーチだ。見た目は、70年代に建てられた、とるに足らない高層アパート。廃虚と化したその建物を虚構として新しくしようというものだ。彼らの作品に添えられた文章も見逃せない。奇妙なポエムのような素晴らしい内容だ。
Safe zones, no. 7 (The toilets at Kunstverein Hannover), 1999 © Jonas Dahlberg
最後にヨナス・ダールベリの独創的なインスタレーション「セーフ・ゾーン No.7(アート&メディア・センターのトイレ)」についてお話しよう。彼は、アート・アンド・メディア・センターのトイレの外にモニターを設置した。このモニターのせいで人々はトイレの中がカメラで監視されているのではないかと想像する。トイレで用を足している最中を見られるなんてゴメンだと思う。それにも関わらず、意を決して中に入った人だけが、モニターに写っていたものが本当はなんであったかを知る事ができるのだ。それは綺麗な小さな中国製の箱のなかに再現されたトイレのミニチュアだった。
展覧会のテーマを考えると、ホールの外に設置されたこの一望監視の狡猾な実験は展覧会の最後を飾るにふさわしい。カールスルーエで行われているこの展覧会は、2002年2月24日まで開催されている。MITプレスよりカタログも出版される予定だ。
CTRL Space Exhibiton
会期:2001年10月13日(土)〜2002年2月21日(木)
会場:ZKM | Zentrum fuer Kunst und Medientechnologie
住所:Lorenzstr. 19, 76135 Karlsruhe, Germany
TEL:+49 721 8100-0
https://www.zkm.de
Text: Timo Linsenmaier, Joerg Radehaus
Translation: Eriko Nakagawa
Photos: Courtesy of ZKM | Zentrum fuer Kunst und Medientechnologie
Special thanks to Thomas Zandegiacomo Del Bel