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パイド・パイパー

PEOPLEText: Chibashi

シナジーの出店は大阪でしたよね、これはどうして大阪に出店されたんですか?

亀石(剣一郎):パイド・パイパーと「A NEW SHOP」を東京でやってきて、僕らの中で大阪っていう街にも興味をひかれていたっていうのが強かった事と、大阪が持つ街のカラーっていうもの、東京には無い下町感がまだ残っているみたいな。今まで東京でやってきた事が、全く違った場所で発表して評価されるかどうかっていうのを試したかったっていうのがすこくありますね。

それって結構冒険ですよね。

亀石(剣一郎):僕らはパイド・パイパーから始まってずっと冒険なんですよ。結局お金があるわけじゃないし、稼いだお金は全部面白い事のために使っていきたいから、ひとつまわったら次やって、それがまわったらもっといろんな事をやっていく。結局「遊び」というコンセプトの中で、最初は洋服って観点から始まりましたが、もっともっとやりたいこといっぱいあるわけじゃないですか。それで少しづつその規模を広げていきたいっていうことですよね。だからもっと次はここで頑張って、もっと次に面白いことやってみようよ!となる。

東京から広がっていったイメージが、大阪で発表することでよりリアルになってきた。じゃ、次は?っていうところで、インターネットの空間が、やはり念頭に置かれているんでしょうか?

亀石(剣一郎):そうですね。インターネットっていうのは、やっぱり誰にでも見れるチャンスがある場所ですよね、世界的な規模で。僕らはベースがやっぱり日本なんです。日本が大好きだし、この日本をどうにかしてやろうという気持ちを持っている。だから、『東京のコア』っていう言い方をしているんですけど、その東京のコアから何かを発信できる人間達が、増えてもらいたいっていうところに強い願いがあります。僕らは僕らのコアでいいんです。他にいろんなコアができればいいって思うんですね。そういうものの発信を、少しでもインターネットを通して、海外の人にも東京っていうものの本当の今を見てもらいたいという気持ちがあったんで、インターネットの世界を利用して見せて行きたいというのがあります。

この間シナジーを作る時に、ドイツの「サボタージュ」っていうブランドがあるんですけど、本店の内装のデザインをしていた「ザイツェンウェッグ」というデザインのチームと会った。そこのキースとマークっていう人達と話をしてみると、彼等は日本に色々な見方をしているわけです。日本はすごいサイバーな都市なんじゃないかとか。創造力が発展しているし、アジアっていうのもすごい注目されていたんで、みんな「東京はすごい!」って言うわけですね。でも日本側の人間は全然日本を見て無くて、世界にばっかり目を向けている。そういうギャップっていうのをすごい感じたんですよ。向こうのヤツらっていうのは、みんなすごい日本を意識しているっていうか、少なくともちょっと前まではアジア・シーンも通して意識していたんで、そういう部分で日本側のサイドっていうのはそれに対して対応できてないところがある。本当の物を打ち出していないし。それで、結局何の誇りもなければ何の自信もない。みんな海外にばっかり目を向けて、海外のいいとこ取りみたいなところを今だにやっている。そうじゃなくて、海外の奴等に俺達のやっている事を見てもらわなくちゃいけないっていう事で始めたのがインターネットだったっていう部分もあったんです。

インターネットでの販売とかは考えていっらしゃるんですか?

亀石(剣一郎):基本的に、ウチではそれは難しいんですよ。というのは商品がひとつひとつ限定なんですね。サイズと色と数ってものが薄いんで、結局出した時はもう商品が無いっていう状況がすごいあるんですよ。ああいうものって、ひとつ同じ商品が奥行きだけあって、常に出していけば注文が入って在庫を出せばいい。そういう場合にインターネットって利用価値があるじゃないですか。だからウチでは今の段階ですと宣伝というか、イメージを伝えるものとして考えていくということになりますね。ですからカタログっていうっていう形をとらさせてもらっている。インターネットではそのカタログ紹介するやり方をしている。

日本ではまだ、インターネットでは洋服の通販は難しいのでしょうか。

亀石(剣一郎):やっぱり洋服って、見て触ってっていう部分がありますからね。通販でもやっぱり、内容をある程度口でも聞きたいっていうのがあるし。「どういうカンジの素材ですか?風合いは?」とか。それだけでも少し安心するじゃないですか。インターネットでモニターを通して見る映像だけで、洋服を決めるのは難しいのかなあっていうのはありますね。カタログを作るときも色構にはかなりの神経を使いますしね。

吉原:本当はネットでギャラリーをやろうというのが最初のコンセプトだったんですよ。有名とか無名とかは全然関係なくて、作品を出せない人がいっぱいいるはずだし、そういう人たちの発表に場にしようというのがあった。でもネット充実させるていくことは大変なんですよ。片手間ではとてもできるものではないので、落ちついたら充実させたいと思っています。本当はやりたいことがネットでもいっぱいあるんですよ。

ネットって受け身的に見ているだけでは感じられない部分ってありますよね。やり始めていくと、そのネットをやっている人とのつながりがリアルになっていくというところが面白くなってくる。そこでリアルな現場を持って表現していると更に強いと思うんですね。例えばショップがあればそこに集まってくるみたいな。本物ができる時代だけに、そこからどんどん本物になっていくというカンジですね。そういう意味でインターネット限定の洋服っていうのも面白いかなと思うんですけど。

亀石(将也):僕は素材にこだわったりすることが多いので、画面では伝わらなかったりすると思うんです。洋服づくりのコンセプトとして素材とかディテールの部分にこだわりたい。単なる見た目では無い部分ですね。糸の組み合わせ方からこだわっていきたい。それをできる限りシンプルにうまく表情あるように表現していきたい。また、そこにミニマルな部分も入ってくるわけです。

インターネットで例えばTシャツづくりをやるにして、もし一番わかりやすいのはプリントTシャツかなと思うんですね。プリントはこれだけ版があって、載せ替えられて、色はこれだけある。それで限定350枚っていうとすごい来る思うんですけどね…。その辺で自分のコンセプトにそって良いやり方を考えて、提案していけるのならばやっていきたいですね。

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