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PEOPLEText: Nicolas Roope
プロジェクトとして、KALIBERの目ざすものは?
自分達を世間に広く知られるようにして、いろいろな人のプロジェクトを発表することのできるフォーラムを作ること。小さなバンドが自分のレコードレーベルを立ち上げ、音楽をディストリビュートするのと同じようなものです。でも実際KALIBERでは、まだ何も作ってないんですが。
自分自身のことをやるための場所を求めています。誰もが訪れて最新のファンシーなトリックをチェックできるということがポイントです。活気があり、新しい出来事が常に起こっていて、コミュニティーを築くことができるように定期的にアップデートしたいと考えていました。究極のインスピレーション・リソースを築き上げたかったのです。
サイトの全体的なポイントは、こういったアンダーグラウンドなものを持ち続けることです。そのためにスポンサーを避けてきて、サイト自体が金を生み出すようにしたのです。
そのことが、なぜ重要なのですか?
インタビューで出会ったある人が、僕らのサイトのヒット数をベースに算出して、年に150万ドルもの金を逃していることが分かりました。でも、もし大きくて醜いポルノサイトのバナー広告がサイトのあちこちにあったら、ウェブサイトは存在しなくなるでしょう。
お金のことを考えると、やりたくないような義務も負うことになります。金を払ってもらうという考えは、重要なことを見えなくさせます。もしビッグなスポンサーがついたら、それまでできなかったような多くのこともできるようになるでしょうけど。
それは、あなたが望んでいる方向性ですか?
そうです。サイトにサブミットする時にしなければならない特別なスタイルや方法があると皆が考えているという事実は別にして。このことは、本当に重要なことではないけど、とにかく起こってしまうことなのです。
そのことが、サイトのスタイルに対しての反応だと思いますか?
そうですね、問題の一つかもしれません。サイトのリデザインをしようと考えています。今は、ちょっと暗くてどんよりした感じなので、それを一掃してもっとフレンドリーにして、ナビゲーションを解決したいと思います。理想は、雑誌のようなかたちにしたいです。
デザイン、構造、ナビゲーション以外の部分も変える予定ですか?
これまで、デスクトップギャラリーやポルノロゴのコンペなどの特集を掲載して来ましたが、近いうちに「LITTLE COMPUTER PEOPLE COM」というゲームをアップする予定です。たまごっちのような感じで、レコードをプレイしたり犬にえさをやるのを命令することができます。たまごっちの原理に従って、この小さな世界は、全てゲームをする人次第です。もしその小さな主人公が何も食べなかったら(彼にそう言わないから)彼は青ざめて死んでしまいます。PRAYSTATIONのジョシュアが、そのゲームからの生の映像を提供する手助けをしてくれているので、その小さな主人公の動きを毎日、一日中チェックすることができるようになります。
立体音響のコーナーも作ります。グラフィックのコーナーと同じアイディアですが、ミュージシャンとコラボレートして行く予定です。
今は34号ですが、100号まで到達した時には、外に出て今までに関わった人達のところを訪れ、カメラで何らかの記録を撮る予定です。100号の記念としてCDブックを作りたいです。
KALIBER以外で個人的にやってみたいことは何ですか?
いい人になること、嫌な大人にならないこと。
嫌な大人?
これはグラフィックデザイン界の人達だけのことなのか分かりませんが、嫌な大人になるために年をとる必要はありません。それは単なる嫌な大人症候群です。デンマークの “インターフェイスの指導者” ジェイコブ・ニルソンがそれにあたります。
彼は、常にこれをやるべきだとか、HTMLであれをやるべきだ、などと言っています。頑固でつまらない大人です。何ができて、何ができないということを規定してしまうような基準があると考え始めてしまうと、何事もつまらなくなってしまいます。
どうやってその症候群を避けていくつもりですか?
ヒット数が増えれば増えるほど、皆が書いてくるEメールが控えめになって行くのは、おかしなことです。それで年をとったと感じるのだと思います。誰にでも起こることだと思います。
避けられないことだと?
僕が思うに、僕達は常に自分自身を新しくしようとしていて、自分自身を繰り返してしまう深みにはまらないように前に進んでいます。また、年をとっていろいろな経験をして来た時に、おっとりと退屈な人間になり、スーツを着ていつも疲れていて、退屈な人生を送ることになってしまうのです。
自分自身が満足しすぎないようにするということですか?
僕達は、ただ楽しむためにやっています。例えばポルノプロジェクトは、攻撃的なものにしようとやっているのではありません。最初の頃にサイトがひどくダサく感じて、新しいロゴをデザインしようと思い、それならいろんな人にやってもらったほうがいいんじゃないかと思ったのです。サイトには、まだまだ問題がありますが、それは、サイトに関わっているコントリビューターの考え次第です。それが、KALIBERの要素なのです。
そういったタブーを取り入れることを面白いと思うのは、なぜですか?
全体的なポイントは、誰もが自分がやりたいことをできるということです。道徳上のガイドラインが全くなかったとしたら、サイト全体は、もっと面白くなります。ハリウッドの成功は、この道徳的でない観点が基本になっているのです。
それがサイトに幅広い魅力を与えることにもなるのですか?
サイトを広い意味でエンターテイメントなものにしようと作っているわけではありません。極めて特殊で、デザインコミュニティーをターゲットにしたものだと思われています。僕らのアプローチは、ただ面白いことをし続け、嫌な大人の深みにはまることがないように気を付けることだけです。僕らに反応してくれるコントリビューターにとっても魅力的なものを作ることも必要です。
他には?
日本のコントリビューターを募集中です。なぜ今までいないのかが不思議です。
Text: Nicolas Roope
Translation: Mayumi Kaneko