天野 真

PEOPLEText: Miwa Yokoyama

「社会に実装されたAIに対する抵抗」をテーマに、最新技術を逆手に取ったメディアアート作品を数多く発表している、情報科学芸術大学院大学(IAMAS)出身の天野真。クマ財団の奨学生として参加した、KUMA EXHIBITION 2022では、現在のノイズキャンセリング・フィルターの利用法とは異なる活用法を提案した作品を発表、技術の可能性を思索した。AIを誤用することを通して、メディアを介した人と環境の関係を探る天野氏に色々とお話を伺った。

まずはじめに自己紹介をお願いします。

天野真と申します。慶應義塾大学でユーザーインターフェース、ユーザーエクスペリエンスの領域で、学会などでの発表を精力的に行なっていました。その後、メディアアートの領域に関心を持ち、岐阜県にある情報科学芸術大学院大学(IAMAS)に進学をしました。IAMASでは、ノイズキャンセリング・フィルターが排除する〈ノイズ〉についてサウンドスケープとメディア論の両面から研究をしながら、インスタレーション作品やウェブアプリケーションの制作を行なっていました。

作品作りや作家活動はどんなことを主にされていますか?

私の作品制作のテーマは「社会に実装されたAI/テクノロジーに対する抵抗」です。普段私たちの生活の中に浸透したシステムをハックすることを通して、メディアを介した人と環境の関係を捉え直す活動をしています。私はシステム開発やリサーチを軸としながら、実際に鑑賞者が体験することができるインタラクティブな作品を制作しています。

卒業されたIAMASの環境はどうでしたか?

IAMASはバックグラウンドの異なる多種多様な人々(年齢も幅がある)が集まり、少人数で議論を深めながら研究を進めていく学校です。そのため、同じ教授についていながら、全く異なる研究をしているということが当たり前でした。自分とは異なる視点を持った同級生と議論することで、考えられていなかった多角的な視点を得ることができました。

また、IAMASには、ロフトと呼ばれる周りで研究する同級生を一望できる大部屋がありました。皆はそこに集まり、作業をする。時には議論を交わし、時には雑談をしながら語り合う。そういった切磋琢磨することができる環境がIAMASにはあったと思います。

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マリアンナ・ドブコウスカ
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