アンダーワールド ニューヨーク公演

HAPPENINGText: Eddie Pak

11月23日、サンクス・ギビングの夕方、ニューヨークはミッドタウンのハマースタイン・ボールルームで、アンダーワールドがコンサートを行なった。到着したころには、すでにチケットは売り切れで34番通りにまで行列ができていて、前座も既に終わっているのに、入り口でもコートチェックの客が1時間も待ちぼうけをくわされていたのだった。

すでにカール・コックスが幻惑的なトランスサウンドで来場者を迎え、比較的ゆったりした雰囲気だったのだが、この巨大な会場が込み合ってくるとみんな踊りだしたり、騒ぎだしたりし始めた。コックスはよく作り込まれた長いが力強い曲を回し聴衆を盛り上げようとするが、多くの客はトマトのビデオが映し出されるスクリーンやモニターを凝視していて、あまり体を動かさない。

そしてついに、カール・ハイド、リック・スミス、ダレン・エマーソンが現われてアンダーワールドクラシックともいえる名曲「Rez」を演奏しはじめた。同時に5台のプロジェクターが新旧の映像をミックスしたビデオを映し出す。エマーソンとスミスが巨大なセットの背後で音に合わせて体を揺らし、カールは大きなヘッドフォンを装着し、マイクを持ってステージ上を駆け回る。彼らが演奏した曲は新しいものと古いものをミックスして新たに産み出されたもののようだ。約3年ほど前に彼らを見たことがあるのだが、そのころカールは今回ほど唄ってはいなかった。

コンサートの半ば、彼らがついに「Born Slippy」を演奏しはじめると、聴衆が狂ったように踊りだし、ハマースタインの木貼りの床が狂喜乱舞のせいで本当にトランポリンのようにたわみだすほどだった。トマトのビデオ映像とともに効果的だったのはライティングで、聴衆めがけてダイレクトにストロボライトが閃光を発し、彼らの音と完全にシンクロしてショーを格別なものにしていた。風変わりな曲のオーヴァーラップやミックス、不意に曲が終わったり、ハードなビートが続いたと思えば、ギターによるよりポップな曲が始まったりと、ショー全体を巧みに構成し聴衆を引き込む。とにもかくにもトマトの映像はショーにおいてとても重要な役割を果たしていた。

Underworld in NYC
日時:1998年11月23日(月)
会場:Hammerstein Ballroom
住所:311 W 34TH St., New York, NY 10001
TEL:+1 212 6956600
https://mc34.com

Text: Eddie Pak

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チーヤン・チェン
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