アーバンワールド映画祭 2000
HAPPENINGText: Rei Inamoto
アーバンワールド映画祭と名付けられたこのイベントは、コンテンポラリーシネマにおけるマイナー映画の役割を高め、再認識するために捧げられた映画祭。5日間にわたる会期中、13の長篇、20の短編、10のドキュメンタリーを含む61の映画が、ニューヨークのシネプレックス、オデオン・ワールドワイド・プラザで上映された。
このフェスティバルは、 1997年にエグゼクティブディレクター、ステイシー・スパイクスによって設立され、今では、かの有名なサミュエル・L・ジャクソンやケネス・“ベイビーフェイス”・エドモンズ、アンドレ・ハレルなどが参加する諮問委員会と共に、この種のフェスティバルでは世界的に大規模なものへと成長した。
‘One Week’ Dir. Carl Seaton, 2001
フェスティバルの審査員最優秀賞は、アメリカ初公開となった「ONE WEEK」(監督:カール・シートン)が受賞。結婚を間近に控え、HIVに感染したかもしれないという不安を抱えた花婿の話で、検査の結果を待つ間の、彼にとっては人生で最も慌ただしい1週間を描いた映画だ。最近では、このようなインディペンデント映画は、メジャーな映画館では、めったにお目にかかれない。
‘The Visit’ Dir. Jordan Walker-Pearlman, 2000
オーディエンス賞に輝いた「THE VISIT」(監督:ジョーダン・ウォーカー=パールマン)という映画は、親族や幼馴染みの訪問が彼の精神的な覚醒と救済のきっかけとなる若い男をめぐるパワフルなドラマ作品だった。
フェスティバルで上映された 10のドキュメンタリー作品のうちのひとつ、「VOICE OF THE VOICELESS」(監督:タニア・クエバス・マルティネス)は、懲役によって世界中を移動することになる死刑囚、ムミア・アブ=ジャマールを取り巻く移動や人生などについて語ったインタビューを収録したドキュメンタリー作品だ。
サンダンスなどの、いわゆる「インディペンデント」な映画祭は、娯楽産業の実業達が、次の大金稼ぎを見つけるために集まるメインストリームのマーケティングショーとなってしまっている。今年で4回目を迎えたアーバンワールド映画祭は、マイナーな映画制作者のための門戸を解放すべくその名前を広める努力をしてきたが、その一方で、インディペンデント映画のスピリッツも持ち続けている。メインストリームの映画もラインナップされてはいたが、今年の映画祭では、力強くストーリーを伝える能力を持った才能ある気鋭の映画制作者を僕達に見せてくれるものとなった。
Urbanworld Flim Festival 2000
会期:2000年8月2日(水)〜6日(日)
会場:Cineplex Odeon Worldwide Plaza
住所:350 W. 50th Street, New York, NY 10019
TEL:+1 212 239 6200
https://urbanworld.org
Text: Rei Inamoto
Translation: Mayumi Kaneko