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東京アートブックフェア 2019

HAPPENINGText: Yu Miyakoshi

TABF 2009 – はじまり

TABFがブックショップ「ユトレヒト」の元代表・江口宏志氏の呼びかけでスタートしたのは2009年。その前年に、江口氏をはじめ、その後TABFを支えることになる面々がニューヨーク・アートブックフェア(以下NYABF)に参加したことがきっかけだった。初代ディレクターは、江口氏と「ペーパーバック」編集長のオリバー・ワトソン氏が共同ディレクターという形で務めた。


Vacant, TABF 2009, Photo: Munemasa Takahashi
記念すべき第1回はヴァカントとアイ・オブ・ジャイルの2会場で開催された。

会場となったのは、東京・原宿のヴァカントアイ・オブ・ジャイル。出展者はフォイルアートビート・パブリッシャーズ赤々舎プレスポップ平山昌尚森栄喜など、インディペンデントで活動する作り手たちが集まった。会場には所狭しと出展ブースが並び、ジンに特化したスイスのパブリッシャー「ニーヴス」や、NYABFを主催する非営利のブックストア「プリンテッド・マター」を紹介する展示なども行われた。


Exhibition “100 + NIEVES ZINES”, EYE OF GYRE, TABF 2009, Photo: Munemasa Takahashi
アーティストのジンを数多く手がけ、アートブック界に名を知らしめたインディペンデントパブリッシャー「ニーヴス」が2004年から2009年にかけて出版したジンを全て展示。会場構成、什器はスキーマ建築計画によるもの。

当初は「東京アートブックフェアなんて大それた名前を付けてもいいのかな」という思いから、「ジンズメイト」という名を掲げ、“TOKYO ART BOOK FAIR” のロゴは横に小さく添えられているだけだったという。とはいえ周囲の反響は、メンバーの想像を上回るものだった。


Exhibition “BROOKLYN ZINES” (右壁面中央), EYE OF GYRE, TABF 2009, Photo: Munemasa Takahashi
ニューヨークにある「プリンテッド・マター」がブルックリンで集めたジンを展示。プリンテッド・マターは1976年に印刷物を用いたアート表現を積極的に行うアーティストらが設立した非営利の書店。

東:2009年は「スタジオ・ヴォイス」「エスクァイア」「マリ・クレール」など雑誌の休刊が続き、紙媒体の存続が危ぶまれていた一方で、インディペンデント出版はインターネットを使って世界中に販路を広げ、盛り上がってきていました。アートに特化した小規模な書店やフェアが増えてきたのも、その頃です。そんな中でスタートしたTABFは、いざ蓋を開けてみたら、お声がけした出展者、ギャラリー、書店、アーティストたちがインディペンデント出版のプラットフォーム作りに共感してくれて、お客様も入場規制をするほど来て下さいました。アートブックの未来は明るいと思えた幕開けでした。

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