東京アートブックフェア 2019
HAPPENINGText: Yu Miyakoshi
2019年7月12日から15日にかけて、東京都現代美術館にて「東京アートブックフェア 2019」(以下TABF)が開催された。巨大なスケールの空間に約300組の出展ブースが並び、来場者数は4日間でおよそ3万5千人に上ったという。
TABF 2019, Photo: Hajime Kato
展示ブースに魅力的な出展者が揃っていたのはもちろんのこと、例年にも増して圧巻だったのは、展示企画だった。地下2階の展示室に入ると、日本人作家のアーティストブックを紹介する「ジャパニーズ・アーティスツ・ブックス:ゼン・アンド・ナウ」や、イギリス人フォトグラファー、スティーブン・ギルによる「ノーバディ・パビリオン」など、9つもの展示が並び、美術館でアートブックを観ることに感慨を覚える。アートブックという形の作品たちがそこにあった。
Exhibition “Japanese Artist’s Books: Then and Now”, TABF 2019, Photo: Hajime Kato
日本人作家たちに焦点を当て、アーティストブックにおける原体験や魅力などを語った言葉とともに彼らの作品を展示。参加作家は河井美咲、川島小鳥、クリヨウジ、立花文穂、平野太呂、平山昌尚、ホンマタカシ、ミヤギフトシ、森山大道、山田愛子、横田大輔、横山裕一。
一つの国や地域に焦点をあて出版文化を紹介する展示企画「ゲスト・カントリー」では、アメリカをフィーチャー。
Guest Country Exhibition 2 “10 Years of The Thing Quarterly”, TABF 2019, Photo: Hajime Kato
サンフランシスコにて2007年から10年にわたり刊行された雑誌「ザ・シング・クォータリー」。ミランダ・ジュライ、ライアン・ガンダーなどのアーティストと制作したオブジェクトを「雑誌」というフォーマットで量産し、気軽にアートに触れられる機会を創出した。展示では彼らの10年間の活動を紹介。
実はこの企画には、運営メンバーの様々な思いが込められていた。ここからは、TABFのプロジェクトマネージャーを務める編集者の東直子氏に話を伺いながら、立ち上げ当初から今年までを振り返ってみたい。TABFの制作現場にいると、いつもどこからか東氏の笑い声が聞こえてくる。フェアを支えてきた頼れる人であり、ムードメーカーでもある人だ。
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